元大関「魁皇」の妻が歩む波瀾万丈すぎる人生 相撲部屋の女将になった元女子プロレスラー
相撲部屋を新設するには、土俵がないと始まらない。まず充子さんがやらなければならなかったのは、稽古場の確保だ。その土地探しは、さまざまな条件をクリアしなければならない。まずは稽古場に必要不可欠な土俵を設置できる十分な広さが欠かせない。その脇には、親方の座る板の間のスペースも必要だ。
さらに、調理場を土俵のそばに作ることや、お客様を受け入れる駐車場も確保しなければならない。これだけでも大変な条件だが、さらに問題なのは、ご近所問題である。一般的に相撲部屋の朝稽古は朝6時に始まる。そしてひとたび稽古がはじまれば、弟子たちの怒号やぶつかり音が近所まで響いてしまう。ご近所の理解をもらえなければ、始まらない。
3年半、2億円を投じて両国に浅香山部屋を新設
その上、夫がこだわったのが、思い入れのある東京・両国という場所。これらの厳しい条件を満たす土地探しは困難を極め、実現するまでに要した時間は、なんと3年半。その総工費は2億円にも上った。
さらに、充子さんが相撲部屋の女将さんになるにあたり不安だったのは、子供を預かるということ。弟子9人との共同生活は、いわば初めての子育て。子供がいない充子さんに、「母親代わり」が務まるのか、思い悩む日々――。
ここで役に立ったのが、かつては自分も苦労したプロレスラーの過去。自身も10代の多感な時期に共同生活をしたという経験が、ヒントとなり、弟子との関係を構築させていったのだ。今では弟子が親方にも相談できないことや、弟子同士にも見せられない弱みも、充子さんには話してくれるという。
弟子たちに聞いてみると「女将さんは1人1人分け隔て無く愛情を注いでくれるので有り難いです」「感謝してもしきれないくらい感謝しています」。充子さんは、まさに、弟子たちの「お母さん」となっている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら