アリババが惚れた、越境ECベンチャーの正体 累計調達額は創業2年で47億円!

拡大
縮小

――今後の資本政策については、どう考えていますか?

取引額が大きくなれば決済サイクルが長くなり、運転資金が必要になる可能性がある。信用枠を確保できる仕組みや、ベンチャーにも融資してくれる銀行との提携などを視野に、あらゆる手段を考えている。株式の上場も意識している。

――資金調達と同時に、アリババグループの「淘宝網(タオバオ)」との業務提携も発表しています。

タオバオ内に10万以上ある個人ショップを後方支援する取り組みだ。ショップのオーナーたちが個人単位で日本製品を買い付けるのはけっこう大変。つまり、売る力はあるけど仕入れる力が弱い。しかも中国には偽物が多く、消費者も個人ショップで日本製品を買うのには二の足を踏んでしまいがちだ。

そこで僕たちは、日本のメーカーがOKを出した商品について、物流や情報も併せて個人ショップに卸す。しかも、この方法で売る日本製品にはタオバオが「本物だよ」という認証を付ける。消費者からすれば、タオバオが保証してくれる商品なら買いやすいし、オーナーたちは手間が省ける分、自分の店の顧客分析などに労力を割ける。

SNSや動画を駆使したマーケティングで貢献

――タオバオ側にはどんな思惑があるのでしょうか。

僕がタオバオの経営者だったら、いちばん怖いのは若者のタオバオ離れだろう。変わっていく消費者ニーズへの対応が遅れたら、顧客はすぐ離れてしまう。特に「ダサい国産品しかない」「日本製品があったと思ったら偽物だった」なんてイメージが付いてしまうことを恐れているはず。

タオバオは僕らで整理している商品情報やコンテンツに特に魅力を感じているようだ。ショッピングの未来にはVR(仮想現実)、AR(拡張現実)を含めたさまざまな技術革新がありそうだが、目先はまず、SNSや動画を駆使したマーケティングを深めていくこと。それをタオバオもわかっているが、知見がない。そうした面で、僕たちは大いに貢献できそうだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT