トヨタものめり込む「オートサロン」の集客力 「改造車の祭典」はブランド訴求の絶好機会だ

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今まで日本の自動車メーカーはこういったサードパーティとのコラボレーション(ダブルネームによる)にはあまり積極的ではなく、特にトヨタは皆無といってもよかったかもしれない。しかし、この「86」に関しては例外のようで、各種のコラボレーションを積極的に行っている。この「M78×86」の属する86 my garage内にはヨットのセイルクロスや自動車のシートベルト素材を使ったコラボバックなどが置かれていた。これらもクルマをライフスタイルとともに提案していくひとつのブランディング手法であろう。

海外からの参加者も増加

中国サプライヤーの合同ブース

海外からの参加者が毎年、増加していることも特筆すべき事項であろう。東京オートサロンのアフターマーケットパーツの見本市、商談の場としての役割も存在意義を高めており、中国サプライヤーの合同ブースも見られたし、いろいろな言語が渦巻いていた。

スーパーカーから国産チューニングカー、カスタムカーやキャンピングカー、そして旧車といった普通ならまったく接点のないカテゴリーのクルマたちが一堂に会すイベントは、世界的にいっても極めてまれな存在である。海外ではそれぞれが明確にカテゴリー分けされており、重なることはめったにない。

東京オートサロン2017の様子

それに加えて音楽やアニメなどのキャラクターやコスプレまである。これはもっと海外からのファンを呼び込める可能性を秘めている。オフィシャルな東京モーターショーと違ってこのイベントでは物販も可能だから、パーツ類だけでなくクルマ自体をそこで海外向けに大いに販売してもよい。

筆者の知人である若き親日イタリア人は年末のコミケから続けて日本へ滞在し、この東京オートサロンを楽しんだ。アニメ命の彼にとって、このオートサロンの雰囲気は世界に類を見ないエキゾチックな桃源郷であるそうで、大いなる満足感とともに帰国していったようだ。

越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表

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えっこ しんいち / Shinichi Ekko

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。

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