日本の鉄道が北欧「赤字鉄道」から学べること スウェーデンに学ぶ観光鉄道の成功例
例えば舞台芸術の世界には、「CoRich」という、小規模な団体でも利用できるインターネット予約・票券管理システムがすでに普及している。日時と座席を指定し、チケットを購入するということでは、観光列車も同じ。このような既存システムの活用も考えらるだろう。
座席そのものも、日本の4人掛けボックスシートでは、もはや狭すぎる。リクライニングシート装備が最低基準であろう。JR北海道には、一般型のディーゼルカー・キハ54形に、特急車両用の中古リクライニングシートを備えたものがある。これなどが参考になるだろう。
「海を向いた固定座席」のような特別なシートは、必須ではない。1988年の瀬戸大橋線開業時、快速「マリンライナー」ではグリーン車の座席を海側(外側)へ向けてセットしていたが、これが不評で、ほどなく前向きにセットされるようになったという例もある。
アテンダントによる人的なサービスは、もっと重視されていい。ビジネス客が混じっていると煩わしく思われるかもしれないが、観光目的の客だけが乗っている列車なら、JR九州や富士急行などにおける、乗務員から積極的に声をかける、密なコミュニケーションが参考となるだろう。
飲み物や軽食の販売もぜひほしいところ。アテンダントによる車内販売でいいが、走行距離によってはインランスバーナンと同じく、リフレッシュを兼ねてレストランがある駅に長時間停車する方式を取り入れればよい。
海外から見れば日本の鉄道は魅力的だ
他方、インランスバーナンにおいて、いちばん不満に思った点は、オリジナルグッズがないこと。鉄道好きの友人へのお土産を探したのだが、いわゆる鉄道グッズが見当たらなかったのだ。この鉄道のロゴはちょっと格好良く、キーホルダーやマグカップのような日常使いできるものに入っていれば、よい思い出になったのだが、残念だ。この点は、日本の鉄道の方に一日の長がある。
また、地域色が感じられる食事がトナカイ料理ぐらいしかなかったあちらより、世界に冠たる和食の国・日本は、食事の面で、はるかに有利。安価な「B級グルメ」でよい。外国人の目には物珍しいと映るに違いない。
要は、ターゲットとする観光客が何を求めているのか。「他人の目」で客観的に見極めることだ。見慣れた景色、食べ慣れた料理こそ、他の国、他の地域から来る人には興味の対象になる。
「ここには何もない」と卑下する必要はない。見た目の豪華さばかりが売り物でもない。外から日本の鉄道を見れば、決して海外の鉄道に引けを取らない魅力を持っていると気がつくはずだ。
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