中古住宅の大格差を生じさせる「国策」の中身 価値が落ちない建物の「4つの条件」はこれだ

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住宅の寿命については多数の研究がある。早稲田大学の小松教授らが行った「建物の平均寿命推計」(2011年)によれば、人間の平均寿命を推計するのと同様の手法を建物に採用した場合、木造住宅の平均寿命は64年としている。マンション(RC/鉄筋コンクリート造)の寿命には諸説ある。たとえば、117年(飯塚裕/1979『建築の維持管理』鹿島出版会)、68年(小松幸夫/2013「建物の平均寿命実態調査」)、120~150年(大蔵省主税局/1951「固定資産の耐用年数の算定方式」)などだ。実際には配管の種類や箇所にも大きく左右されるが、思いのほか長持ちするイメージではないだろうか。

価値の落ちない住宅の条件とは?

それでは、時間が経過しても価値の落ちない住宅の条件とはどのようなものだろうか? 評価の具体的詳細はまだ明らかになっていないものの、これまでの国のアナウンスから確実に読み取れるポイントを4つお伝えしよう。

まず前述したとおり、「耐震性」の確保はマストだ。これなしに評価は不可能と言ってよいだろう。次に「主要構造部」の品質だ。地盤と合わせ建物全体に歪みがないか、という点が重要になる。そして「雨漏りや水漏れ」の有無。これは、わずかな雨漏りや水漏れでも早期発見し適切な修繕を行っておくことで対策になる。また「省エネ性」。2020年には一定の省エネ基準が義務化されるが、今後住宅の省エネ性基準はどんどん切り上がっていく趨勢だ。内装のリフォームやリノベーションを行う際は、同時に壁内に断熱材を入れる、性能の高いサッシに交換するなどの措置をしておくといいだろう。

この4つのポイントを満たす住宅は、価値が維持される土俵に乗る。建物のこうした重要部分については、その性能が損なわれないかぎり、何年たっても一定の価値があるとされる案が有力だ。劣化した場合でも修繕すれば問題はない。床・壁・天井・建具などの内装部分、キッチンやユニットバスなどの設備については、経年で減価していく。しかしある時点でリフォーム・リノベーションを行ったら、それによってバリューアップした分について評価を上乗せするといった案が有力だ。物件選び、リフォーム・リノベーションの際には、これらを価値の落ちない住宅を目指す目安として考えてはどうだろうか。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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