中古住宅の大格差を生じさせる「国策」の中身 価値が落ちない建物の「4つの条件」はこれだ
住宅ローンを利用して住宅を購入する際、価値の落ちない住宅の所有者の家計では、金利こそ資金調達コストとして流出するものの、元金部分は住宅資産額として計上される。これはローン元金部分を貯金しているのと同じであり、価値貯蔵機能を持つ中古住宅所有者は着実に資産形成できることを意味する。一方で、価値を保てない住宅の所有者は、建物価値とローン残高の目減り競争をすることになり、その分はドブに捨てているようなものだ。
日本においてこうした話をすると、「日本は新築文化だ」「日本は地震国である」「日本の住宅寿命は短い」といった、他の先進国のような中古住宅市場が形成できない理由が聞かれることがあるが、そうした話にはあまり意味がない。
「新築文化」は当たり前ではない!
そもそも日本の新築文化などというものは、戦後の高度成長期に形成されたごく短期間における特異な現象にすぎない。住宅数が一定程度充足したら、ストック中古住宅の価値維持に努めるのが、先進国における住宅政策の王道である。日本は政策転換が遅れ、景気対策として新築住宅を量産したのだが、その結果として多くの空き家を生み出してきた。それを、ここにきて、遅ればせながら成熟国として他の先進国並みの住宅政策に転換しようというわけだ。
日本が有数の地震国であるのは間違いないが、現行の耐震基準は有効に機能したことが熊本地震でも確認されている。もちろんRC(鉄筋コンクリート)造なら1981年6月以前、木造住宅なら2000年6月以前の、現行耐震基準に満たないものは課題があるため、必要に応じて耐震改修を行うべきだし、耐震性を満たさないものはそもそも、未来の住宅市場ではまともに評価されないだろう。
「住宅の寿命は30年」と思い込んでいる向きも多いが、それも間違いだ。国交省がこれまで公表してきた資料によれば、木造住宅の寿命30年、マンション(RC/鉄筋コンクリート造)は37年としているケースが多い。ところが、こうした数字は取り壊された建物の築年数であったり、建物の新築数を取り壊し数で除した数字であったりして、実態を反映した正確な数字ではないのだ。
実は「寿命30年」の根拠とは「ストック(現存する住宅数)数をフロー数(新築数)で割ったもの」で「サイクル年数」という概念を使って便宜的に求めたもので、木造住宅の寿命を正確に表しているわけではない。
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