トランプ次期政権が日本に「円高」を迫る日 「ドル高前提」の日本株上昇の危うさ
つまり、トランプ次期大統領が掲げる政策が実現し、米国経済が力強い成長を見せたとしても、これまでのようにその「おこぼれ」を頂戴しにくくなり、日本お得意の「コバンザメ作戦」が通用しなくなる可能性があるということだ。
また日本人が描く、ドル高を背景とした輸出企業の業績回復によって日本経済が潤うというシナリオが現実のものになるということは、トランプ次期大統領にとっては政策的失敗を意味することであり、ラストベルト(さびた地帯、斜陽化した中西部や北東部の工業地帯)を中心とした熱狂的支持者たちからの支持を失いかねない。
トランプ次期大統領の政策パッケージがうまく機能すれば、米国企業と日本企業の業績には差が出てくるはずである。トランプ次期大統領の政策パッケージが実現し、米国経済に恩恵が及ぶということをファンダメンタルズ面でのメインシナリオに据えるのであれば、投資面でのメインシナリオは、米国の株価と日本の株価に乖離が生じて来るということになるはずである。
したがって、トランプ次期大統領の政策パッケージの実現性とその効果に期待する投資家にとって、日本株を持つ動機は、トランプ次期大統領の政策パッケージが期待する効果を生まなかった場合のヘッジということになる。
レーガン元大統領との相違点とは?
また、トランプ次期大統領に関しては、過去の新政権誕生とは異なった固有のリスクがあることも認識しておくべきだ。それは、トランプ次期大統領が掲げる政策の実現性が高まっても、実体経済が政権の思惑どおりに動くか定かではないというリスクである。
通常であれば、政権の政策にそって実体経済は動いていくものである。しかしそれは、政権と政策の持続性があるという前提があっての話である。
過去米国大統領の就任時の支持率を見てみると、少なくとも50%程度の支持はあった。トランプ次期大統領と比較されるレーガン元大統領の支持率も6割近い数字であった。
これに対してトランプ大統領は、就任時から支持率よりも「不支持率」が高くなるといわれている。不支持が支持を上回るという異常な状況が続き、トランプ政権が短命で終わるという見通しが強まれば、トランプ政権の思惑どおりには動くものと動かないものに分かれていくことになる。
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