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5)東京圏の鉄道、今後の基本方針が打ち出される

国土交通省・交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」は4月、今後の東京圏の鉄道ネットワーク整備の基本方針を、石井啓一国土交通大臣に答申した。前回の答申は2000年で、今回は2030年ごろを念頭とした内容だ。

今回、もっとも注目されたのは、羽田空港アクセスをめぐる路線の構想がどのように位置付けられるかだった。羽田へのアクセス新線計画としては、新宿方面や東京方面と空港を結ぶJR東日本の「羽田空港アクセス線」、東急電鉄多摩川線の矢口渡から蒲田、京急蒲田を経て京急電鉄空港線の大鳥居を結ぶ「新空港線(蒲蒲線)」、東京駅付近(新東京)を経由して京成線・京急線を結び、羽田・成田両空港へのアクセスを改善する「都心直結線」などが議論されてきた。

この3路線は今回の答申で「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として記載された。これからさらに関係者間で議論を詰めていくことになるが、前回の答申と異なり、今回は新路線の「ランク付け」が行われなかった。ここをどう読み解くかがひとつのカギとなっており、今後の計画進展に注目が集まる。

特急・観光列車も続々登場

6)今年も相次いだ観光列車のデビュー

えちごトキめき鉄道に登場した観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」(撮影:尾形文繁)

今年も各地の鉄道で観光列車のデビューが相次いだ。主な列車だけでも、4月に上越新幹線の越後湯沢―新潟間で運転を開始した“走る美術館”こと「現美新幹線」、建築家の隈研吾氏が内外装デザインを手がけた西武鉄道のレストラン電車「52席の至福」、新潟県の第3セクター、えちごトキめき鉄道の「えちごトキめきリゾート雪月花(せつげっか)」、近鉄の「青の交響曲(シンフォニー)」……など、まさに百花繚乱の様相を呈している。

趣向を凝らしたインテリアや地元食材を使った食事の提供など、各社それぞれの工夫が見られるが、全国に多数の観光列車が走るようになった今、これからはどのように差別化を図っていくかがさらに重要となるだろう。

7)大手私鉄各社が新型特急発表

大手私鉄各社のフラッグシップである特急車両の新車導入計画発表も目立った。3月には西武鉄道が2018年に導入する新型特急車両の計画を発表。建築家・妹島(せじま)和世氏による銀色の弾丸のような斬新なイメージ図が話題を呼んだ。

10月には小田急電鉄が新型特急ロマンスカーの計画を発表したほか、同月には東武鉄道も、2017年春から運行する新型特急電車「500系」の愛称を「Revaty(リバティ)」と発表。26年ぶりの新型特急は連結・切り離しが自在な構造で、これまで特急のなかった野田線(東武アーバンパークライン)での運転も計画されている。

特急車両とはやや異なるが、京王電鉄は今年3月、2018年春から同社初の座席指定制列車を運行すると発表し、大きな話題を呼んだ。西武鉄道も2017年春から東京メトロ有楽町線などに乗り入れる座席指定制の列車運転を発表。着席できる通勤列車の運転は今後も増えていきそうだ。

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