鉄道界のこの1年は?2016年のニュース10選 北海道新幹線開業、地震被害、新型特急…

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8)北陸新幹線・敦賀以西のルート決定

「米原」「小浜・京都」「舞鶴」の3案が候補に挙げられてきた、北陸新幹線の敦賀以西ルート。与党のプロジェクトチームは12月20日に「小浜・京都」ルートの採用を正式に決定した。京都-新大阪間のルートについては判断が先送りされたが、こちらも年度内には決定する方針だ。

だが、実現までのハードルは高い。最大の課題は2兆円を超す建設費の財源だ。金沢-敦賀間の延伸開業は2022年度の予定だが、財源が確保されていない現状では敦賀から先の延伸時期は明確に見通せない。京都-新大阪間のルート選定も含め、来年以降の議論に注目が集まる。

ホームの安全に関心が高まる

9)視覚障害者のホーム転落事故相次ぐ

ホームからの転落といった痛ましいニュースも続いた。8月には東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、盲導犬を連れた視覚障害者の男性がホームから転落し、電車にはねられて死亡。さらに10月には、近鉄大阪線の河内国分駅でも視覚障害者の男性が転落し、特急列車にはねられ死亡した。

けが人こそなかったものの、4月には東京メトロ半蔵門線の九段下駅でベビーカーがドアに挟まれ、ホーム上を引きずられる事故も発生しており、今年はホームの安全に特に注目が集まる1年となった。

視覚障害者の相次ぐ事故を受け、国交省と鉄道各社は対策に向けた検討会を設置。12月には、1日に10万人以上が利用する駅の場合、車両のドア位置が統一されているなどの条件を満たす駅について、2020年度までにホームドアを整備するなどの対策をまとめた。

駅のホームは視覚障害者にとって「綱渡り」「欄干のない橋」と形容される危険性の高い場所。今後も安全対策の充実が求められる。

10)iPhoneでSuica使用可能に

ついにiPhoneで自動改札機を通過できるようになったのも、今年の大きなニュースだろう。米アップルはiPhoneの新機種「iPhone 7」と、アップルウォッチの新機種「Apple Watch series 2」に、日本国内のICカードで主流となっている「FeliCa(フェリカ)」を搭載。10月25日に日本でもアップルの決済サービス「Apple Pay」がスタートし、JR東日本のICカード乗車券「Suica」が使用できるようになった。

これまでもAndroid搭載のスマートフォンやフィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)ではSuicaが利用できたものの、国内で人気の高いiPhoneで利用が可能になったインパクトは大きいだろう。

2017年は、JR東日本・西日本がそれぞれ運行を開始する豪華列車に注目が集まりそうだ。来年も、鉄道関連のニュースが世間を賑わすことになるだろうか。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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