鉄道界のこの1年は?2016年のニュース10選

北海道新幹線開業、地震被害、新型特急…

 2)JR北海道の経営危機

華々しい新幹線開業の一方で、JR北海道の深刻な経営危機もクローズアップされた。同社は11月18日、利用者数の減少などにより「単独では維持することが困難な線区」10路線13線区、計1237.2キロメートルを正式に発表した。これはJR北海道全線のほぼ半分にあたる。

JR北海道は、13線区のうち輸送密度が200人未満の3線区はバスなどへの転換を軸に、200人以上2000人未満の8線区は上下分離化や運賃値上げなどについて、地域と協議を進める方針だ。

すでに廃線の動きは進んでいる。12月4日には留萌線の留萌-増毛間16.7キロメートルが廃止に。新夕張-夕張間を結ぶ石勝線の支線も廃止が決定しているほか、2015年の高波被害以来不通となっている日高線の鵡川(むかわ)-様似間116キロメートルについても、12月21日に復旧の断念が発表された。北海道の鉄路、そして公共交通のあり方をどう考えるか、来年以降も重い課題だ。

自然災害で鉄道に被害相次ぐ

3)熊本地震で鉄道にも大きな被害

4月14日と16日に最大震度7を記録し、熊本県、大分県に甚大な被害をもたらした熊本地震。国道325号の阿蘇大橋が崩落した映像は全国に衝撃を与えたが、鉄道も大きな被害を被った。

九州の大動脈である九州新幹線は回送列車が脱線し、高架橋にも被害を受けたものの、4月20日には新水俣~鹿児島中央間、23日には博多~熊本間が復旧。27日には九州新幹線全線で運転を再開し、翌日からは山陽新幹線への直通運転も復活。復旧は急ピッチで進んだ。

だが、今も復旧のめどが立っていないのが、第三セクターの南阿蘇鉄道とJR豊肥本線の一部区間だ。

南阿蘇鉄道は、路線の象徴的な存在である高さ62メートルのアーチ橋「第一白川橋梁」が損傷するなどの大きな被害を受けた。比較的被害の少なかった高森-中松間の7.1キロメートルは7月31日に運転を再開したものの、残る中松-立野間10.6キロメートルについては復旧の見通しが立っていない。JR豊肥本線も肥後大津-阿蘇間で不通が続いており、特に立野-赤水間では線路に土砂が流入するなどの被害が発生しているため、運転再開にはかなりの期間を要するとみられる。

自然災害では、8月の豪雨でJR北海道の各路線に甚大な被害が発生したことも大きなニュースとなった。12月22日、約4カ月ぶりに石勝線・根室線のトマム-芽室間が復旧を果たしたものの、災害の恐ろしさと影響の大きさが改めて浮き彫りとなった。

4)JR九州が上場

JR九州は10月25日、東京証券取引所1部に上場を果たした。JRグループとしては東日本、西日本、東海に次ぐ4社目。首都圏や近畿圏、東海道新幹線という「ドル箱」を抱える前3社と異なり、事業基盤の弱い「三島会社」の上場は初だった。

「ななつ星in九州」などの観光列車が話題を呼ぶ同社だが、稼ぎ頭は駅ビルや不動産事業。2016年3月期には5215億円という巨額の減損処理を行って減価償却費を大幅に圧縮、2017年3月期には鉄道事業の黒字化を見込んでいるが、少子高齢化が進む中、鉄道事業で売り上げの大幅増加を見込むのは難しい。今後も不動産など、鉄道以外の部門をどれだけ成長させられるかが重要になるだろう。

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