なぜSMAPは国民的アイドルと呼ばれたのか 無言のまま終了した「スマスマ」が伝えたこと
12月26日、20年9カ月続いてきたSMAPの冠番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系。以下『スマスマ』)の最終回が放映された。5時間弱に拡張された特別番組は過去に放送された映像の編集でほぼ構成され、SMAPの生出演はなく、ラストに歌われた「世界に一つだけの花」も事前に収録された映像が用いられた。
『NHK紅白歌合戦』についてはサプライズやハプニングでの登場が囁かれていたが、メンバー5人が自ら担当者へ手紙を送り辞退を申し入れていたことが報道された。NHK側も「SMAPに関する演出、企画は一切ない」と記者会見で断言した。
したがって、『スマスマ』最終回の「世界に一つだけの花」の収録(12月1日)、およびタモリの出演した「ビストロスマップ」の収録(12月8日)が5人揃っての活動の最後であり、撮り終えた時点でSMAPは実質的な解散を迎えていたということになってしまったようだ。
解散コンサートなどメモリアルなイベントも開催されず、それ以前にメンバー自身の口からファンに対して説明がなされることすらなく、なし崩しに12月31日の解散の日を迎えつつあるSMAP。事務所内部のいざこざがこじれた結果とはいえ異例ずくめの解散劇であり、戦後屈指と言っていい巨大な芸能グループがそんな顛末をたどっているという事実が異様さに拍車をかけている。
SMAPと、平成という時代の関係性
SMAPの解散をめぐっては様々な記事や出版物が出ているが、解散を目前にした12月半ばにも、SMAPをテーマに据えた新書が4点、前後して出版された。
- ・速水健朗・戸部田誠・みきーる『大人のSMAP論』宝島社新書
- ・中川右介『SMAPと平成』朝日新書
- ・矢野利裕『ジャニーズと日本』講談社現代新書
- ・太田省一『SMAPと平成ニッポン』光文社新書
この4冊には共通した認識がある。SMAPというグループを、平成という時代と共振した存在と捉えていることだ。『SMAPと平成』、『SMAPと平成ニッポン』はタイトルからしてそうだし、『大人のSMAP論』も、SMAP解散と今上天皇の生前退位との符合からSMAPを「国民統合の象徴」と位置づけている。『ジャニーズと日本』の主題は他書より大きく、戦後日本文化においてジャニーズ事務所のアイドルたちが果たした役割をたどっているが、終点はSMAPであり、平成という時代の「自由と解放の気分」を含んでいたがゆえにSMAPは「国民的アイドル」になったのだと論じている。
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