その濱松氏のもとには、他社で社内勉強会・交流会を開いている者からも連絡が殺到した。「ウチでも始めたい」「ウチでもやっているが、活性化するためのノウハウを教えて欲しい」などというものだった。
富士ゼロックスで「わるだ組」を立ち上げた大川陽介氏はベンチャーと大企業のスピードの差に危機感を抱く。「目に見えてサービスをどんどん出せちゃうというのは、やはり羨ましいと思う。同世代は既に起業をしている。未だに居酒屋で愚痴をはいている場合じゃないと思った」。山本氏もそれに重ねてこう語る。「ベンチャーが出すクラウドサービスも、もともとのリソースは大企業のもの。作れないわけはない。でも、大企業からそういうものが出て来ないというのは、どこかに問題があると思うのです」
大企業各社において、問題意識を持っている若手社員の居場所がないという危機感も、この社内勉強会・交流会の盛り上がりに影響を与えている。今回、横断的なつながりであるOneJAPANができたことにより、大手企業若手社員の声をまとめ、政治に社会につなげていくようなムーブメントも期待できそうだ。
12月には2回目の総会的なイベントが開かれた。40社が集まり、各社平均6.5人が参加した。参加企業数も参加者も増え、分科会も立ち上がっている。
One JAPANは大企業の閉塞感を超えられるか?
とはいえ、このOne JAPANの取り組みは始まったばかりである。具体的なアウトプットやムーブメントが起きたわけではない。評価を得るのは今後の動きにかかっているだろう。
社内外で同じような問題意識を持った仲間で「つながる」「できることから実践する」というのは大企業の閉塞感を解決する策の一つではある。
もっとも、参加社数も参加者も増える中、いかに良質な知を共有するか、利害関係をいかに調整するか、現在掲げている5つのテーマを始め具体的な提案をし、オープン・イノベーションを起こせるかどうかは未知数である。意識高い系の集まり、単なるガス抜きで終わってしまう懸念もある。大企業の若手社員がベンチャーにコンプレックスや、過剰な憧れを持たないですむように、彼ら自身が自分たちの納得のいく成果が得られるかが問われている。
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