青学・原監督「管理職の仕事は管理じゃない」

常勝軍団を率いる名将が明かす人の育て方

私は、彼らが答えを出すまでとことん待ちました。チームが考える集団になれるかどうかは、監督の忍耐強さにかかっています。新しい習慣を身に付けるのですから、時間はかかって当然です。青学陸上競技部の部員に考える習慣が十分浸透してきたなと感じ始めたのは、監督になって7、8年目のことでした。

管理職の仕事は、管理することではない。感じること。

チームに考える習慣が浸透してくると、監督の立ち位置も変わってきます。考えて、答えを出して、相談できるようになると、個々に考えるだけではなく自主的に話し合いをするようになります。青学陸上競技部でも学年を飛び越えた話し合いをよく見かけるようになりました。

考えるということは、縦のつながりも横のつながりも生み出すということです。営業職の方が宣伝部、人事部など他部署に社内ネゴシエーションするようなものです。

ここまで成熟したチームになると、監督が前面に出る必要はなくなります。成熟するまでは教える立場ですが、成熟したチームになると、変化を感じ取るのが主な仕事になります。

グラウンドでの定位置は、チームから離れた場所。私はそこからチーム全体の雰囲気を見ています。ハードなトレーニングに耐えられているかどうか、目標達成を焦って追い込み過ぎていないかどうか、キャプテンはチーム全体をうまくまとめているか、4年生がリーダーシップを発揮して統制の取れた雰囲気になっているかどうかなど、選手たちの動きを遠くから眺めています。

そして、選手たちが間違った方向へ傾きかけていると感じたときだけ動きます。

たとえば、ウォーミングアップをしている部員の姿に緊張感が足りないなと思ったときは、部員の側に近づきます。いつもは遠くで見ている監督が近づくだけで、部員は自分たちの状態を察知します。部員が緊張感のなさに気づけば、私はまた、定位置に戻ります。

近づいても気づかないときは、さらに近づいて“あー”“なんだなあ”とつぶやきます。今のチームであれば、それだけで十分です。

就任した当初は怒ったこともありましたけど、今は怒るよりも諭すことが多くなりました。チーム全体を俯瞰で見ているのは監督ですから、感情的に怒るよりも言葉でじっくり諭したほうが部員の心に響くものです。

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