青学・原監督「管理職の仕事は管理じゃない」

常勝軍団を率いる名将が明かす人の育て方

たとえば、選手が「足が痛いです」と私に言ってきたとします。それは相談ではなく報告です。だから私は、選手にこう問いかけます。「それで?」、続けて、「どこがいつから痛いの?」「治るまで1週間? 10日? 1カ月?」と質問を広げていきます。

さらに、「治るまで1カ月かかるなら、いつまでに治すように努力するの?」「それまでにできるトレーニングはA・B・Cがあるけど、どの方法でやってみたい?」と具体的にしていきます。

そして、「今回はトレーニングAにしたいと考えていますが、監督はどう思いますか?」と自分で答えを出すところまで求めます。そのとき、それが本当の相談であると部員に話してあげるようにしています。

自分で考えるまで忍耐強く待つ

部員からの提案を嫌がる監督もいますが、それだと、監督の指示を仰ぐ部員やスタッフばかりになってしまいます。

たとえば、陸上競技部のマネジャーが夏合宿の練習時間について、「今日のスタートは何時にしますか?」と聞きに来たとします。指示を出したい監督であれば、「○時からこのグラウンドで、こういうトレーニングをする」と伝えて終わりでしょう。

でも、それではマネジャーは御用聞きになってしまい、何も得るものはありません。天候、気温、風、グラウンドコンディション、練習場の選定など練習時間を決めるさまざまな要素から、マネジャー自身が答えを出して、「今日は日中の気温が30度を超えるので、練習時間は遅めの午後4時半からにしませんか?」と相談に来る。

これが、今の青学陸上競技部です。その提案に私が納得できれば、「それでいいんじゃない」と答えます。

自分の提案が通ると、それはマネジャーにとってひとつの成功体験になります。

自分の考えが反映されたとなれば、次はさらに詳しく状況を調べて、よりよい練習環境を整えようとします。

このレベルに部員が育つまでには、やはり時間が必要です。初期の段階は教えることがたくさんありました。考える習慣がない部員に「さあ、考えなさい」と言っても無理。だから、監督に就任した頃は、私が話すことが多かったと思います。ただ、考えるための材料は与えても、できるだけ答えは出しませんでした。そうすると、なんとか自分で答えを導き出すしかありませんから。

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