例えば、順調に推移した個別株への投資の場合、①割安で魅力的な株価で買って、株価が上昇して、②普通くらいの魅力の持ち株になり、さらに株価が上昇すると、③持っていない方がいいと思う割高銘柄になる、といった推移を辿る。
この場合、株式ポートフォリオを運用するファンドマネージャーであれば、この銘柄の保有ウェイトが値上がりによって上がる事情もあるので、①→②→③、という推移に応じて、当該銘柄の持ち株を「少しずつ売る」事が最適解になる。こうしたケースでは、持ち株を一気に売却することは適切でない場合が多い。
現在の東証1部のPER(株価収益率)はざっと17倍だ(日本経済新聞予想ベース、12月22日終値)。債券市場と株式市場の両方に、日銀の「投資判断によるのではない大きな買い」が入っているので、自然な長期金利と株価は分かりにくい。
だが、現状で想像される自然な長期金利は少なくとも1%はあろうから、益利回りで6%弱の株価は少なくとも「割安」ではないし、益利回りが5%となるPER20倍(現在の収益予想だと日経平均では2万2000円台は現状では「明らかに高い」といえる。そろそろ、リスク・ポジションを引き下げる第一段階の時期ではないだろうか。
株は1~2割売却、不動産は買わないほうがいい
為替レートが円安に振れたことで、今後、企業業績の改善が期待できるし、中国や新興国の経済も持ち直し気味なのだが、米国でいずれ来るはずの、金融引き締めによる上昇相場終了、そして世界的上げ相場の一巡を警戒しておきたい。利上げによって円安方向に圧力が掛かりやすい分日本株は相対的に有利だが、それでも、世界的な資産価格下落には抗しきれないだろう。
経済政策のパターンとしても、国別に濃淡の差はあっても、財政政策のウェイトが高まる(財政赤字を拡大する)方向性であり、長期金利には上昇圧力が加わるので、資産の価格に対して警戒的になり始めるべき頃合いだ。
個人に対する「潔い」アドバイスとしては、(1)内外の株式は保有分の1割〜2割くらい売るのがいいのではないか、(2)もう不動産は買わない方がいい、と申し上げておく(注:もちろん、投資はご自身の判断で行って下さい)。
なお、恒例の週末の競馬予想はここでは行わない。24日配信予定の
競馬好きエコノミストの市場深読み劇場・特別編「2017年はどうなる?その前に2016年有馬記念大予測だ!」をぜひお読みください。
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