【産業天気図・商社】資源高の恩恵で引き続き増益基調、08年度も「晴れ」続く
08年4~9月 | 08年10月~09年3月 |
総合商社の2008年度前半は、資源高と経済成長が続く新興国が牽引し業績は「晴れ」。年度後半はインフレ懸念から新興国の景気動向は不透明感が強まるが、資源高によって「晴れ」は続きそうだ。
08年度の業績を牽引するのは特に原料炭と鉄鉱石だ。08年度の価格が原料炭の強粘炭は3倍超に値上がり、鉄鉱石は前年度から65%(豪州産はまだ未決着だが65%を超えると見られる)値上がりする。原料炭と鉄鉱石は原油など相場モノと違って年間の価格契約を基本であるため、値上がりが確実に通年で寄与する。原料炭で世界有数の権益を持つ三菱商事<8058>、鉄鉱石で商社ナンバーワンの三井物産<8031>は大幅増益がほぼ確実だ。三菱商事は豪州の豪雨で原料炭の生産に影響が出ているが、値上がり効果が減産分を補って余りある。2社ほどではなくても、伊藤忠商事<8001>、丸紅<8002>なども恩恵を受ける。加えて、1バレル120ドルから130ドルで推移している原油は、各社の想定は85ドル程度であり、相場商品ゆえに通年では下落リスクを抱えるものの、業績の上振れ要因として期待が大きい。大手の中では資源比率の低い住友商事<8053>も増益基調だ。
サブプライム問題に絡んで心配された新興国の経済も足元は好調を持続しており、引き続き総合商社のビジネスを引っ張ってくれそうだ。ただ、資源高によるインフレ懸念が高まっており、年度後半には不透明感も漂っている。一方、資源高で国内事業は厳しくなる可能性が高い。資源高で打撃を受ける業界からは商社バッシングの声も聞こえてきている。それでも、08年度は各社とも増益となるだろう。09年度は鉄鉱石と原料炭が反落するとすれば(その幅にもよるが)、恩恵の大きかった2社が増益を維持できない可能性がある。
【山田 雄大記者】
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