IT企業が人工知能の枠組みを提供するワケ

深層学習はビジネスをどう変えるか?

オープンソースのフレームワークによってイニシアティブを執る、というのがどういうことか想像できないかもしれませんが、わかりやすい例を出しましょう。

たとえば、スマートフォン向けOSのAndroidです。

Androidは、グーグルが主導になって開発したものの、実際にはほぼすべてのソースコードが無償で利用できるオープンソースのプラットフォームになっています。

誰でも無償でAndroidのソースコードを使い、その派生系を作ることができます。だからこそ、マイクロソフトはWindows10上でAndroidのアプリを動かすような離れ業ができるようになっているのです。

日本国内ではiPhoneが人気を集めていますが、全世界に目を転じればAndroidのほうが圧倒的に普及しています。それは何より、Androidが無償であり、誰にでも使えるものだからです。

グーグルはTensorFlowによって、まず第1段階の世界をそのように構築していると思われます。

グーグルはどのようにして利益を上げているのか

ではグーグルは、Androidによってどのように利益を上げているのか。それはグーグルと各端末メーカーとの間に交わされる契約に秘密があります。

端末メーカーは誰でも、自由にAndroidを使用したスマートフォンやタブレットを作ることができます。

ところが、端末メーカーは、グーグルが“Androidの機能”として提供する一部の機能を搭載したければ、グーグルが決めるいくつかの重要な事項に合意しなければなりません。それはたとえば、ロックを解除した最初の画面にグーグルの検索窓やアプリストア「GooglePlay」のアイコンを設置することなどが含まれます。

また、グーグルが提供する高性能なウェブブラウザや、地図などの便利なアプリをあらかじめインストールして配布することも、この契約には含まれます。

メーカーは、グーグルが膨大な広告費をかけて宣伝しているようなAndroidらしい先進的な機能をユーザーに提供したければ、グーグルとは別途契約を結ばなければならないのです。

グーグルはAndroidを無償化し、プラットフォームを支配することで多くの開発者を集め、スマートフォンという世界のイニシアティブを握ることに成功しました。グーグルがAndroidをバージョンアップすればニュースになり、Androidの最新版が欲しいというユーザーの期待に応えるためにはメーカーはグーグルの言いなりにならなくてはなりません。

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