サントリーが仕掛ける、マイボトル専用飲料 魔法びんの「サーモス」と協業で狙う新市場
「過去、飲料市場は容器の進化とともに転機を迎えてきた」。8日、東京・六本木のミッドタウン東京で会見したサントリー食品の小郷三朗副社長・食品事業本部長は、マイボトルドリンク「ドロップ」を展開していく背景について解説した。
日本の飲料メーカーは1970年代に瓶入り飲料を発売。オレンジジュースなどが庶民に親しまれる嗜好品となるきっかけをつくった。その後、アルミやスチールといった缶飲料の登場で、コーヒーやジュースなどがより手軽に飲めるようになり、小容量のPETボトルは持ち運びなどの利便性を増した。
マイボトル市場は過去5年で約2倍に
この次の展開となるのが、「飲料市場に新たな需要と新しいスタイルを提案する」(小郷副社長)マイボトル専用飲料だ。マイボトルが世の中に出てきたのは2005年ごろ。サーモスの樋田章司社長によれば、「消費者の節約志向や環境意識の高まりとともに、携帯用のステンレス製魔法瓶の国内市場は2012年に1980万本と、ここ5年ぐらいで約2倍に膨らんでいる」。一方、マイボトルを使うライフスタイルの広がりに足りないのが、「好みの飲み物を簡単に補充できる環境がまだまだ十分に整備されていない」(樋田社長)ことだという。
両社によれば、今回の共同開発がスタートしたのは3年前の2010年。サントリー食品が「ポーション入り飲料の展開を考えていたところに、マイボトルの新しい使い方を模索していたサーモス側から提案があった」と、ドロップの開発担当者の1人であるサントリー食品の食品事業本部・吉雄敬子ブランド戦略部課長は明かす。「通常、私どもの常識としては非常に長い」(吉雄氏)3年という長い時間をかけたほど、満を持した取り組みとなる。