アマゾン「1時間超速便」はここまで進化した お急ぎ便、日時指定便の対象商品も急拡大へ

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これにより、「新たにプライム対象に加わる製品は無数にある」と、アマゾンのセラーサービス本部・星健一事業本部長は語る。アマゾン側で物流を担えないもの、事業者側が預けにくいものは、実は色々あるのだ。

具体的には、消費期限の短い食品類、厳密な温度管理が必要な冷蔵冷凍品、コンタクトレンズをはじめ出荷前に検品が必要な商品、サイズの大きい商品など。これらについても、無料で当日・翌日・時間指定配達が可能になることは、プライム会員にとって大きなメリットだ。

事業者側にもメリットがある。事業者の中には、すでに自社で万全の出荷体制を組んでいるところも少なくない。また楽天、ヤフーなど複数のサイトに販売窓口を持つ事業者にとっては、アマゾンの販売用に一定数の在庫を預けてしまうのは、かえって非効率になる場合もある。マケプレプライムの仕組みを使えば、そういった事業者もプライム対象商品としてアマゾンのサイト内での存在感を高められる。

超速配達サービスはさらに激戦の時代へ

アマゾンがプライム対象商品の枠組みを開放した背景には、eコマースでモノを売る事業者の販売チャネルの多様化がある。「複数の販路を持つことで色々なお客さんにリーチできるので、複数のプラットフォームで事業を展開している事業者が圧倒的に多い。それをアマゾンとして止める必要はない」(星事業本部長)。

もちろん、マケプレプライムを利用するために事業者に課す条件もある。当日・翌日の配送を行う「マケプレお急ぎ便」(有料サービス)の実績があること、期日内配送を96%以上、配送状況確認の正確性94%以上を実現することなどだ。クリアできない事業者には注意を促し、場合によってはプログラムから外すことで「プライム」のブランド価値を棄損しないよう努めていく。

アマゾン・ジャパンが扱う商品は現在2億点。実数や比率は非公表だが、「プライムマークが付いている商品はまだまだ少ない」と星事業部長は語る。マケプレプライムは新たな成長ドライバーとなるだろうか。

配送スピードにこだわり、サービス拡大を続ける王者アマゾン。楽天やヨドバシカメラなど即日配送を展開する競合他社も含め、ECのスピード競争はさらに激しさを増していきそうだ。

(撮影:尾形文繁)

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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