ドナルド・トランプ次期大統領候補とFRB(連邦準備制度理事会)のジャネット・イエレン議長の間の軋轢が高まりそうである。去る9月21日にFOMC(連邦公開市場委員会)は政策金利の据え置きを決めたが、金融市場では2015年12月以来の2度目の利上げに踏み切るとの予想が大勢を占めており、予想外の決定であった。
トランプ氏は選挙期間中に、イエレン議長はオバマ政権を支援するという"政治的な配慮"から作為的に低金利政策を続けており、「彼女は恥じるべきだ」と極めて強い口調で批判していた。こうした批判に対してイエレン議長は21日のFOMC後の記者会見で「FOMCは政策決定に際して政治を考慮に入れない。政策決定は経済情勢に基づいて行われたものだ」と反論を加えた。
投票日直前の11月1日に開催されたFOMCでも利上げは見送られた。次のFOMCは12月13日に開催されるが、トランプ氏が次期大統領に決まった中で、どのような決定を行うかが注目されている。緩やかに利上げを行うというのがイエレン議長のシナリオであるが、新政権の政策を考慮しながらどのような判断をするのか。
FRB議長は交替か、政策決定に介入も
またFRB議長人事も注目されている。新大統領が常に前の政権が任命したFRB議長を再任しないわけではない。共和党のレーガン大統領は民主党のカーター大統領が指名したポール・ボルカー議長を再任し、民主党のビル・クリントン大統領は共和党のブッシュ大統領が任命したアラン・グリーンスパン議長を再任し、さらに民主党のオバマ大統領は共和党のブッシュ大統領が任命したベン・バーナンキ議長を留任させている。
だがトランプ氏は早い時点からイエレン議長を再任しないとことを示唆していた。たとえば今年5月に行われたCNBCのインタビューで「イエレン議長は非常に有能な人物である。しかし彼女は共和党員ではない」と、イエレン議長の留任を暗に否定する発言を行っている。
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