ホンネは低金利継続、トランプの対FRB戦略

イエレンFRB議長との対決の日は近い

さらにシナリオ修正を迫る2つの新しい要因がある。まずFRBの理事人事である。理事会は7名の理事で構成されるが、現在、欠員が2名ある。現職の5名の理事はすべてオバマ大統領が任命した理事である。共和党上院は、オバマ政権末期でのFRB理事承認を渋り、新政権のもとで任命されるべきだという立場を取っていた。

トランプ氏は就任直後に2人のFRB理事の人事に取り組むだろう。当然、政権の意向を汲む人物を理事に任命しようとするだろう。たとえば1981年に誕生したレーガン政権は政府寄りの新理事を相次いで任命して当時のボルカー議長に圧力を掛けた例がある。理事会の票決でボルカー議長が少数派に転落するという前代未聞の事態も起こっている。

欠員の理事2名を任命し、イエレンに圧力も

トランプ氏が2人の新理事を任命しても、理事会の5対2の勢力分野には基本的に変化はない。大統領は議長や理事を解任することはできない。だが政治的圧力も含め様々な理由から任期途中で辞任する理事は多い。イエレン議長の任期は2018年2月3日までだが、トランプ政権の新財務長官が様々な形で金融政策に介入してくる可能性もある。ボルカー議長とベイカー財務長官の対立など、過去にもFRB議長と財務長官の確執は何度も見られた。

とすればイエレン議長が任期を待たず辞任する可能性もまったくないわけではない。異常な大統領のもとでは、異常なことが起こっても不思議ではない。さらにトランプ次期大統領はFRBの規制・監督を強化する動きを見せている。金融政策だけでなく、FRB運営でもトランプ次期大統領とイエレン議長の軋轢は高まるのは避けられないだろう。

もうひとつは、金融政策決定に際して財政赤字の拡大も考慮しなければならないことだ。インフラ投資、軍事費増と歳出は膨らむが、大幅減税で歳入は大きく落ち込む。ムーディーズ・アナリティックスは、大幅減税によって10年間で12兆ドルの歳入減があるとみている。経済成長によって2兆ドルの歳入増が見込まれるが、結果的には財政赤字は10兆ドル増加すると予想している。その結果、財政赤字は対GDP比で、今年が3.5%であるのに対してトランプ政権の第一期の最後の年の2020年には10%を超えるまで上昇する。

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