JR渋谷駅から六本木通りを進むこと約8分。ゆるやかな坂を登り切った先にある25階建てのビルにミクシィ本社はある。「mixi」の文字が目立つ入口を抜けてウェイティングスペースに入ると、板張りの床に鋭角的でスタイリッシュなソファ、そして設置されている巨大スクリーンには、12月に公開予定の劇場アニメ『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』のプロモーション映像が流れていた。おしゃれな雰囲気はまさにIT企業の見本といえる。
予想していたことだが、社員証を首からぶら下げている社員の中に、スーツ姿の人をまったく見かけない。なんでも、法人営業を担当している社員も社外に出る日以外、普段着でいるそうだ。新卒の採用面接でも、学生には私服で来るようにお願いしているという(それでもスーツを着て来る学生もまれにはいるが、最近は減ったらしい)。寒くなってきた時期なので厚着の人が多いが、中にはTシャツ1枚のラフな格好で歩いている人もいる。
ゲーム開発者にプログラム言語は不要
そんな多様性のあふれるオフィスの会議室に入り、話を聞いたのは2014年入社の山本直輝さん。ミクシィのゲーム事業部である「XFLAG」の企画チームに所属し、スマホゲーム「モンスターストライク(通称・モンスト)」の企画開発を手掛けている。
世界累計利用者数が3500万人を超えるモンストは、同社の屋台骨を支える大ヒットゲームだ。それを手掛ける部署は、数ある事業部の中でも花形部署だといえるだろう。どんな優秀な人なのかと探りを入れてみると、大学では経営学を専攻していた、ごく普通の大学生だったという。社長と役員との3回目の面接で「釣りは好き?」と聞かれ、「いえ、釣りは好きじゃないです」と答えた素直さが認められたのではないかというのが、山本さん自身の分析だ。
山本さんがモンストの企画チームで手掛けている仕事は、「クエスト」というステージエリアの企画と開発だ。ゲームをプレイしたことのない人のために説明すると、画面のモンスターボールを引っ張って敵に当ててダメージを与えるのが基本的なプレイスタイル。ゲームの作り手は敵の属性の設定やステージの配置を工夫し、ゲームの面白さを最大限に引き出すことが求められる。
意外だったのは、ステージの開発に使っているのが自社のスマホゲーム専用ツールで、難しいプログラム言語を用いたりすることがないことだ。「エクセルやパワーポイントも社会人になってから覚えました」という山本さんでもすぐに扱えるものなのだという。
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