東電は「超官僚的組織」から脱却できるか? 改革派が主要ポストに 東電、大胆人事の思惑

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新東電4人組の素顔

今回の人事がサプライズなのは、若返りだけではない。旧来、東電では東大法学部を卒業した総務、企画部生え抜きが入社年次に応じて出世するという、予定調和的人事が横行。「霞が関以上に官僚的な会社」(経済産業省の事務次官経験者)と揶揄されてきた。

が、今回は学歴もキャリアも多彩な人材が部長に抜擢されている。特に注目すべきは1985年以降に入社した佐伯、文挾、森尻、冨倉の4氏だ。

慶応大学出身の佐伯氏は、かつてプロゴルファーの倉本昌弘氏のキャディーを務めたこともある総務部の苦労人。休日は福島原発事故関係のボランティア活動をしている。同じく慶大卒の冨倉氏は長年、優れたシステム屋として知られ、この2年余は福島原子力被災者支援対策本部に籍を置いた。

一方、旧東京都立大学出身の文挾氏は経理部が長く、水戸支社長を3年務めた後、新たに発足した経営改革本部のスタッフを務めてきた。

ただ一人、東大(工学部建築学科)出身の森尻氏は、グループ関連企業を束ねる責任者になるが、自身は関連会社出向歴が長い。

実は今回の大胆人事の兆しは今春にあった。

東電は4月から社内カンパニー制を導入。「フュエル&パワー(燃料・火力)」「パワーグリッド(送配電)」「カスタマーサービス(小売り)」の三つのカンパニーに分かれたが、そのトップ人事は少なからず話題となった。

特に社内の耳目を集めたのは、フュエル&パワー・カンパニーのバイスプレジデントとなった可児行夫氏(49)である。同氏は入社後、一貫して燃料部を歩み、計画・調査、LNG(液化天然ガス)事業開発に従事してきた。

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