東電は「超官僚的組織」から脱却できるか? 改革派が主要ポストに 東電、大胆人事の思惑

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戻ってきた改革派の旗手

その可児氏が、4月1日付人事で豪州の関連会社であるPEウィートストーン社長からバイスプレジデントに大抜擢され、「復権」したのである。

なぜ、復権なのか。福島第一原発事故後の東電は混迷していた。当時の勝俣恒久会長が率いた経営執行部は、東電を一時公的管理に置く国有化論に強く抵抗、「発電・送電・配電一体」の電力体制死守に固執していた。

こうした中、当時燃料部マネージャーであった可児氏ら社内の中堅・若手の改革派が2011年夏ごろからひそかに集結。議論を重ねまとめた提言「何を目指すのか~将来への希望」を作成した。

そこには、東電自ら7分割案を提示し、新しい電力供給のあり方の議論を主導すべきだと記されていた。この提言は12年年初に勝俣氏に提出されたが、握り潰されただけでなく、可児氏は後に海外転勤となり、ほかの改革派メンバーも左遷同様の厳しい立場に追い込まれた。

だが、昨年6月に勝俣氏が会長を退任。弁護士の下河邉和彦原子力損害賠償支援機構(原賠機構)運営委員長を会長、廣瀬直己常務取締役(原子力被災者支援対策本部長)を社長、経済産業省出身の嶋田隆原賠機構事務局長を取締役兼執行役とする新経営体制が発足したことで改革派が復権した。

また、そのほかの執行役員人事でも、カスタマーサービスカンパニーのバイスプレジデントに就任した佐藤梨江子氏(48)は、初の女性執行役員として話題になった。佐藤氏は2年前の夏から一貫して被災者支援・補償相談に従事してきた。これまで東電では傍流であった部門の経験者が数多く抜擢されている。

それでも、社内守旧派の存在は根強いものがあり、同社の本質とされた権力集中と規律を体現するエリート部門、総務部と企画部の組織改革には手をつけることができなかった。

が、今回は若返りを図るだけでなく、総務、企画部にメスを入れたのである。より柔軟な組織になったことで、今後はたとえば発送電分離など東電が率先して電力自由化を進めるといったことも期待できる。

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