ヤマハが成熟市場の楽器で利益を伸ばすワケ 中国新興メーカーの猛追をしのぐ

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自動演奏機能を搭載した「ディスクラビア エンスパイア」を今年12月に投入

管楽器においてもヤマハは世界シェアで3割を占める。フルート、サクソフォン、トランペット、ホルンなど楽器ごとにそれぞれ競合メーカーは異なるが、ヤマハは特にトランペットに強い。近年は米国向けに引き合いが強いが、管楽器は検品など生産に時間を要すため需要に供給が追いつかない状況だ。

とはいえ、将来を考えると楽器の成長余地は乏しい。かつてヤマハと合弁を組んでいた中国のアコースティックピアノメーカーのパールリバーが2007年に独り立ちし、現在、台数ベースでは世界首位に躍り出た(金額ベースではヤマハが首位)。ヤマハが中~高価格帯を手掛けているのに対し、パールリバーのラインナップはそれより下だが、最近は品質も向上しつつある。中国市場における競争はますます激化していくだろう。

電話会議用途などの音響機器に商機

そこでヤマハが次の成長の種として考えているのが音響分野だ。ライブ・コンサート用途ではすでに実績を築いているが、レストランなど店舗BGMや電話会議などの設備を導入している企業会議室向けなどはほぼ手付かずの状態で、ここに攻め込んでいく。

全売り上げの3割弱を占める音響分野の売り上げが増えてくると、収益面でも好影響がある。電子部品で構成される電子ピアノなどと工場生産において融通が利かせやすく、たとえば電子ピアノ生産の閑散期に音響機器の生産を行えば工場の稼働率を上げることができる。

今2016年度は円高による目減りもあって、売上高は7.7%減の4020億円と減収見通しだが、実質増産効果や販管費の抑制もあって営業益は3.3%増の420億円を見込む。競争力がある商品については値上げも実現できており、利益のアップトレンドはしばらく続くだろう。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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