だが、これに対してくだんの中国人エコノミストは「冗談じゃない」といった感じでこう言い切った。「だから……、日本はもうダメだと言っているでしょう? いったんバブルにしても、それをどうやって処理すればよいのかわかっていないのだから。何がこれから起きるのかは目に見えている」
まさに一刀両断、取りつく島もないとはこのことだといった感じであった。そこでは何ら根拠は示されておらず、とにかく「日本人はダメだからダメだ」の一点張りだったのである。だがこれと相前後して、わが国のマーケットの奥底で活動している向きから、サンクト・ペテルブルクにいる私に対してこんな連絡があった。
「どうも中国の国営ファンドである中国有限投資公司(CIC)が日本株を売り始めたようですね」。ロンドンでこのコラムを書いている段階で、私自身にはこの非公開情報を検証する手段はない。しかし仮にこれが“真実”であったとするならば、非常に納得がいくのである。「ダメなものはダメ」と中国人エコノミストが声高に言い切るのと、この「リーク」はあまりにもタイミングが符号しているからである。なぜならばこの2つに接すると、普通であればこう判断するはずだからだ。「日本株は中国ですら手放し始めており、しかも中長期的にも将来性がないというのであれば、もはや売りだ」
中国は「日本バブル」のシナリオを察知した?
だが仮にこれが、円安誘導による資産バブルという意味での「日本バブル」の、「第1弾の後半戦」(前半戦は「5・23ショック」により終わった)開始を察知した、中国による策動であるとするならばどうであろうか。世界中で「経済論陣」に対してあらゆるレベル、あらゆる手段を通じ、「日本株悲観論」を叫び続け、やがてはその現実を動かしてしまう。しかしそうであればあるほど、わが国はいよいよ公的・準公的な資金を動員して(年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本計画見直しがその典型)「日本バブル」という名の官製バブルを盛り上げることになるはずだ。何せ参議院選挙が7月に控えているのだから、関係者たちは「政治」からのプレッシャーを受けてそう動かざるをえないのである。
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