「トランプ相場が持続する」とは言い切れない 過去の「米大統領選後の株価」を検証する

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そして、財政拡張策が予想されていることや、インフレ進行の思惑などから米国債券(10年債)の利回りは、8日の終値1.8547%から2.1501%(10日終値)まで急騰した。昨年12月に利上げした時期の債券利回りが2.2%前後なので、ほぼその水準と同じである。日米金利差が2%超まで拡大すれば、さすがにドル買い円売りの流れが強まる。昨年から続く円高に頭を悩ます日本銀行からすれば、トランプ氏勝利に伴う米国債券利回りの上昇は、円安を生む神風とも言えよう。

しかし、気をつけなくてはいけないことがある。あくまで「政策に対する思惑が先行している」という点だ。市場では、米大統領交代のタイミングは政策への期待感などから上がりやすいというアノマリーも聞かれる。

大統領選後の株価はどうなっているのか

そこで、1960年の大統領選以降の実際のパフォーマンス(S&P500)を確認してみたい。大統領選投開票日に比べて、「大統領就任日・大統領就任100日後・大統領選の翌年末」の3つの株価がどうなったかである(いずれも初当選時)。

1960年(ケネディ氏)
11/9 55.35p→1/20 59.96p4/30 65.31p12/29 71.55p
1968年(ニクソン氏)
11/6 103.27p→1/20 101.69p、4/30 103.69p、12/31 92.06p
1976年(カーター氏)
11/3 101.92p→1/20 102.97p、4/29 98.44p、12/30 95.10p
1980年(レーガン氏)
11/5 131.33p→1/20 131.65p4/30 132.81p、12/31 122.55p
1988年(ブッシュ(父)氏)
11/8 275.15p→1/20 286.63p、4/28 309.64p、12/29 353.4p
1992年(クリントン氏)
11/3 419.92p→1/20 433.37p、4/30 440.19p、12/31 466.45p
2000年(ブッシュ氏)
11/7 1431.87p→1/19 1342.54p、4/30 1249.46p、12/31 1148.08p
2008年(オバマ氏)
11/4 1005.75p→1/20 805.22p、4/30 872.81p、12/31 1115.10p

太字が「勝ち」(上昇)だが、1960年以降のデータを見ると、大統領就任時が5勝3敗。大統領就任後100日間のハネムーン後(メディアなどが政策への批判を控える時期)でも5勝3敗。大統領選挙翌年の年末では、4勝4敗という結果となっている。

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