「トランプ支持者バッシング」が筋違いなワケ

そんなことしても米国は再生できない

トランプ氏は選挙期間中に、非常に攻撃的かつ明らかに間違った発言を繰り返した。同氏が5月に「最も重要なのは人々が一致団結することだ。そうしない人々には全く意味がない」と発言したことは、まさに彼がポピュリストである証拠だ。彼は彼自身が「真の人々」と定めた人々を代表しているのであり、それ以外の人々は排除されるべきだと言ったのだから。

ポピュリストはまず、「真の人々」のシンボルを作り出そうとする。トランプ氏は7月の共和党大会で「私はあなた方の代弁者だ」と語った。

常に正しい行いをする単一で同種の人々が、その意思を適切に具現化してくれる純粋な代表者を求めているというのは幻想に過ぎない。しかし、富や権利を奪われているとの感覚は、ポピュリストを育てる肥料となる。

ポピュリスト台頭を招いたベネズエラやトルコでは、一部の国民が不利な立場に置かれたり、政治プロセスからはじき出されていた。米国でも、低所得層が政治にほとんど影響力を持っていなかった証拠は、いくらでもある。こうした状況下でポピュリストは、虐げられた者こそが「真の人々」なのだと主張した。

トランプ氏は、米国人の多くが白人による国家主義的運動に加わったと確信している。これは悲劇的かつ有害だ。白人至上主義はトランプ氏の選挙活動の柱だった。彼はマイノリティの悪口を言うことで不平不満を煽り、他のポピュリストと同様、多数派である白人は虐げられた犠牲者なのだ、と言い立てた。

「毛嫌い」は事態を悪くするだけだ

トランプ支持者の考え方を白人至上主義と切り離すのは、極めて重要だ。だが、トランプ支持者を排除しようとしたり、道徳的に失格だと言い立てるのは好ましくない。それはポピュリストに「ご覧なさい。エリートはあなたを毛嫌いしている。われわれが言った通りだろ」と言わせてしまい、彼らを政治的にさらに利するだけだ。

このため、トランプ支持者を人種差別主義者とみなしたり、クリントン氏がしたように「救いがたい」人々で「嘆かわしい」と評することは、悲惨な効果をもたらす。ジョージ・オーウェルはかつて「ある人を敵に回したいのなら、その人の病が不治なのだと伝えれば良い」と語った。

ポピュリストに対抗して民主主義を守ろうとするならば、特定の集団のための政治活動を行うという、危ない橋を時には渡らなければならない。だが、そうした政治活動は特定の民族、ましてや人種のために行う必要はない。ポピュリストは常に多元主義に反している。彼らに対抗するには、公平性の理想を分かち合えば足りる。

また、トランプ氏については、米国憲法を軽視するのではないかとの懸念も根強い。米国の建国者たちは、議会や最高裁判所を味方につけた大統領だったとしても、その権限には一定の制限が課されるように望んでいた。トランプ支持者を含む十分な数の有権者が、建国の父たちと同じ考えを持ってトランプ氏に圧力をかけるよう、望むばかりだ。

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