セレクトショップは好き嫌いで経営できる?

ユナイテッドアローズ 重松会長の好き嫌い(上)

好きなことしかやってこなかった

楠木:私はこれまで何度か重松さんにお会いしてきましたが、いつも感じるのは、起業家によく見られるアグレッシブな雰囲気がないことなのです。ガンガン商売するぞ、といった雰囲気がほとんどない(笑)。

重松:確かにそうかもしれません(笑)。

楠木:そういう人が、なぜここまで会社を大きくできたのか。経営の実績をみると、上場するし、成長志向で、セレクトショップ業界の中でも最も「ガンガン系」の経営者であってもおかしくないと思うのですが。

重松:そういう雰囲気がないのは、今まで、基本的には好きなことしかやってこなかったからではないでしょうか。好きなことをやっていたら、いつのまにか売り上げが付いてきた、というのが正直な感想です。おそらく、おカネを儲けようと利益を追求していたら、売り上げは付いてこなかったと思います。ストック商品のことでも、商売っぽいと言われたらそうかもしませんが、自分の感覚としては、そういう商品を作るのが好きというのが、まずあるんですね。

楠木:ビームスを辞められたのも、自分の好きなことができなかったから、と言われていますね。

重松:私は、過去2回転職をしていますが、いずれも好きなことができなくなったからです。最初に勤めた婦人服のアパレルメーカーは、仕事は面白かったのですが、自分が着たい服を売りたいと思うようになって辞めました。ビームスを辞めたのは、ファッション以外のアイテム、具体的には「衣食住遊知」というライフスタイル全般にわたる商品を取り扱いたい、という気持ちが強くなり、新会社を立ち上げたのです。ずっと、自分の好きなことをやってきたのです。

(構成:松岡賢治、撮影:今井康一)

※ 対談(下)に続く

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