日本人は、「トランプ大統領」を甘くみている

過去の「トンデモ発言」には信念がある

これは非常に堅実なアイデアで、トランプ氏側がこれを受け入れる可能性もある。同氏の側近には、外交や安全保障、そして国際経済政策を担える人材も少なからずいるが、多くの役職を埋めるには、共和党の保守本流の人材(その多くは独断的な米国による介入など、いまだに古典的な外交政策の原則を支持している)を使わなければならない。

一方で、トランプ氏が外交政策において、共和党保守本流に「外注」を頼むことはないだろうという、理由もいくつかある。第一に、トランプ氏はこうした高官たちから何の恩恵も受けていない。同氏は彼らから資金援助を受けていないし、選挙スタッフにも共和党の中核派は含まれていない。同氏は、自ら共和党の支持基盤やイデオロギーを変えることで同党のリーダーになったのである。

もうひとつの理由は、少なくとも1980年代後半の日米貿易摩擦の時代から一貫して、トランプ氏は上記の述べたような見解を示してきたことだ。つまり、彼が言っていることは、選挙対策でペンシルベニア州の元製鉄所工員たちにアピールするために作られたスローガンではない。これは、トランプ氏の強固な信念であり、それを放棄する気配は今のところ見られない。

「日本人に食い物にされている」

トランプ氏のゴーストライターが書いた『The Art of the Deal』(1987年)では同氏がどのようにビジネスを行うのかが説明されているが、その中で同氏は、日本人とのビジネスがどれだけ難しかったか不平をもらしている。その年、同氏はニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ボストン・グローブ紙に、日本の防衛のために米国がカネを出しているすきに、意図的に安くされた円を基盤に日本が強い経済を築いたと、日本人を非難する全面広告を出した。

さらに翌年、テレビ番組の司会者として彼はこう言った。「われわれは、日本を祖国に入れて、何でもかんでも投げ売りさせている。こんなのは自由貿易じゃない。もし日本に行って何か売ろうとしているなら、そんなことはやめちまえ」。

さらに、日本人がニューヨークの不動産を買いあさっていた1990年に行われたプレイボーイ誌のインタビューでは、トランプ氏は日本を信用ができない、二枚舌の同盟国であると辛らつな表現を使って非難した。

「日本人は最も優秀な科学者にクルマやビデオ機器を作らせている。そしてわれわれは最も優秀な科学者にミサイルを作らせて日本を守らせている。なぜわれわれは、支払った費用の補償を受けていないんだ? 日本人は米国を2重に食い物にしている。まず米国人に消費財を売ってカネを得て、そのカネを使ってマンハッタンを丸ごと買おうとしている。どちらにしても、われわれの負けだ」。

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