メディアがトランプ勝利を読めなかったワケ ヒラリーが勝つ確率を84%と報じたのに・・・

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ハフィントンポストは事前に、クリントン氏が、圧倒的ではないものの大勝利を収めるだろうと報じた。ニューヨーク・タイムズも8日夕時点の結果予測で、クリントン氏が勝つ確率は84%だとしていた。しかし同日の午後10時30分には予測を様変わりさせ、トランプ氏が勝利する確率は93%だとしていた。

他のメディアも、クリントン氏勝利からトランプ氏勝利へと、一斉に乗り換えた。CNNのジョン・キング記者は8日夜の番組で、トランプ氏勝利を示す地図の前で、過去数週間、「われわれは現実に即した会話をしていなかった」と語った。

それは異例な告白だった。報道機関が現実に即した政治シナリオを示せないのであれば、最も基礎的な機能を果たしていないことになるからだ。

大統領選が予想外の結果となったことで、世論調査の信頼性を問う声も急速に高まった。民主党の世論調査専門家スタンリー・グリーンバーグ氏は8日夜、筆者に「世論調査はめちゃくちゃだったと思う」と述べた。「だが、世論調査には、さまざまな読み方があると考える」とも語った。

ニュース専門放送局MSNBCに出演した共和党の戦略担当者、マイク・マーフィー氏は、「私の予測は粉々に打ち砕かれた」と語った。同氏はクリントン氏の勝利を予想していたからだ。彼は「データは今夜、死んでしまった」と付け加えた。

世論調査や結果予測はトランプ氏の力を過小評価していた。昨年の立候補表明以来、同氏は予想をことごとく覆してきたというのに。

そして、世界をひっくり返しつつある反エスタブリッシュメント機運について行けなくなってしまったジャーナリズムも、ある部分が明白に覆されてしまった。

政治は単純な数の問題ではない。データは米国政治の血液である人間の心理を常に把握できるわけではないのだ。政治報道は勝敗を伝えるだけのものではない。しかし、選挙結果が、しばしば他の要素を覆い隠してしまうことは避けられない。

「読み違い」はこれを最後に

メディアは少なくとも2008年以降、ポピュリストが国家政策に及ぼす影響を何度も見誤ってきた。保守派によるティーパーティー運動が巻き起こり、2010年と2014年の選挙で共和党を躍進させるとは見通せなかった。トランプ氏が共和党から大統領候補の指名を受けることも無論、予想できなかった。われわれはこうした数々の失敗から教訓を引き出し、過ちを繰り返すのを避けなければならない。

筆者は以前のコラムで、ジャーナリストの大半は自身が持つ「保守的な地域や労働者階級、白人貧困層などに対する偏見」に気づいていないとする、保守派の作家ロッド・ドレアー氏の発言を引用した。

白人の労働者階級にしてみれば、政府や経済制度と同様、メディアも壊れているのだ。確かに、何かが壊れている。だから、これを最後に修復を進めようではないか。

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