安倍政権の正体 ー秘められた本心と人脈ー

出そろった安倍流「3本の矢」の実力は?

帰ってきた小泉改革 若手財界人も合流

「竹中さんが帰ってきたな」。前出の成長戦略スピーチを聴きながら、ある経産省OBはその内容に竹中平蔵・慶大教授の影響を感じた。特に、目玉政策の「国家戦略特区」にその色が濃く出ているという。

これまでも「特区」は何度も作られてきたが、今回は仕組みが違う。既存の特区制度では、地方自治体が計画を策定しても、中央官庁に骨抜きにされていた。今回は逆に、国がトップダウンで計画を作る制度になっており、実現性が高い。「過去の経緯をよく知る竹中さんが全体を仕切り、企業と連携して組み立てていくつもりではないか」(同)。

アベノミクスは、金融緩和政策、財政出動、成長戦略の「3本の矢」で構成されている。経済ブレーンにはリフレ派と称される浜田宏一・イェール大学名誉教授、本田悦朗・静岡県立大学教授がいる。共に内閣官房参与として安倍首相を支えるが、彼らの影響力は、金融緩和政策に関する部分に限定されている。

「成長戦略」を主導するのは、構造改革に重きを置くグループだ。その筆頭は、小泉政権で安倍首相とともに働いた竹中氏。同じ流れには、三木谷浩史・楽天社長、新浪剛史・ローソンCEO、金丸恭文・フューチャーアーキテクト社長らがいる。

竹中、三木谷、新浪の各氏は成長戦略の策定を主導した産業競争力会議に、金丸氏は規制改革会議に起用された。彼らと安倍首相は、メールなどで頻繁に連絡を取り合っている。横の連絡も密だ。

規制改革会議の議長代理は、小泉内閣の経済財政政策担当相だった竹中氏を事務方で支えた大田弘子氏である。一連の動きは、小泉構造改革チームの「復活」とも見える。

リフレ派と「成長戦略」派の人脈は一部に重複があるものの、基本的には別物だ。さらに、大規模な公共事業を求める「国土強靭化」もアベノミクスの一部を成す。系統の異なるブレーン集団に知恵を出させ、最終的な方針は自分で決めるというのが安倍首相の流儀らしい。

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