「スッキリ!!」を10年支える加藤浩次の仕事術 3つの「やってはいけないこと」を心掛ける
三枝:日々違うし、ゲストによっても違う。毎日が葛藤ですね。これは、MCだけでなく、ビジネスでも、プライベートでも、現代のコミュニケーションにはつきまとう問題ですね。
加藤:肝に命じているのは、人によって意見を変えたり、昨日言った意見の真逆を言わないこと。昨日言ったことに対して違うなと思ったら、翌日に「昨日はAと言いましたけど、やっぱり違うような気がしてきました」と絶対に言うようにしているんです。そうしないとズルだと思うんです。
三枝:そのとおりですね。ズル賢くないってところが、加藤さんが選ばれ続ける要因のひとつだと思います。さらに言うと、MCがブレでしまうと、番組もふらふらしてしまいますからね。その意味でも一本柱を通しているのは正しいと思います。
加藤:そう言ってもらえるとうれしいですが、それは不器用だからそうなっただけです。その弱点に気づくことができたから、いまの僕がいるのだと思います。
相手にゆだねて、口を出さない
三枝:ところで、加藤さんがこの人のMCはすごいなと思うのは誰ですか?
加藤:明石家さんまさん、島田紳助さんです。
三枝:加藤さんでも、さんまさんと久しぶりに番組で会ったりすると……。
加藤:めちゃめちゃ緊張しますよ。
三枝:あのすごさは、やっぱり違いますもんね。
加藤:何がすごいって、ツッコミだけじゃないですから。笑いもとって、相手の笑いもとって、さんまさんは別格です。
三枝:同感です。あの天才ぶりはまねようとしてもまねられるものではないでしょうね。
加藤:たけしさんも別格ですし、タモリさんも、本当にビッグ3と言われる方は違います、あとは鶴瓶さん。
三枝:タモリさんや鶴瓶さんは、相手を少し油断させるじゃないですか。共演者に対しても、視聴者に対しても、なんとなく「どうなの?」と受け手側に回れるすごさがありますね。僕はそれを「油断力」と呼んでいるんですが、人にゆだねられる人は、どんな仕事でも成功すると思っています。
加藤:我を殺すというか。
三枝:やろうと思えばやれるのに、あえて自分でやらずに、相手にゆだねてしまえる懐が深い人は、やっぱり一目置かれますよね。
加藤:その意味で言えば、僕が番組をやらせてもらうときは、キャスティングには一切口を出さず「お任せします」と言っています。僕が口を出すと、自分がやりやすいスタッフを集めることになってしまいますから。だって、やりづらいほうが面白くなることもあるじゃないですか。
三枝:本当にそう。僕も、大物MCを集結させた番組を大いにこけさせた経験があります(笑)。それよりもMCがハブになって、チームを作り上げていくほうが大切だと思います。
加藤:僕もそう思います。僕のやり方は、これからも変わらないと思います。
三枝:「周りにゆだねる力」が、加藤さんの魅力につながっていることを改めて感じました。お忙しい中、お時間いただき、ありがとうございました。
(構成:高杉公秀、撮影:梅谷秀司)
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