「スッキリ!!」を10年支える加藤浩次の仕事術 3つの「やってはいけないこと」を心掛ける

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加藤:昨年まで放送していたBS日テレの「コージ魂‼」です。1対1で相手の話を聞く番組です。一切のカンペがなく、「僕の聞きたいことだけ聞いていく」番組でした。「スッキリ‼」は生放送で、ゲストの時間は10分です。もっとツッコミたくても、10分だから、終わらせなければいけないとか、ゲストに番宣してもらうことも必要。そんなストレスがあって、「カンペに沿って質問するって、なんなんだ」と思ったんですよ。

三枝:ゲストの方は、すべて初対面だったんですか?

加藤:初対面です。最初の頃は焦っていました。「なんでこんなに焦っているんだろう」と思ったら、自分の考えどおりにしたいとか、自分に邪な気持ちがあるからだと気付いた。だから、そんなものはぜんぶ捨てよう、悪意がなければ何を聞いてもいいんだと。

三枝:大人としての最低限のルールがあって、スタンスもきちんと持って真摯に質問すれば、失礼に当たらない。

人によって意見を変えない

三枝 孝臣(さえぐさ たかおみ)/1966年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。1989年日本テレビ入社。「ZIP!」「スッキリ!!」「シューイチ」を日テレの看板番組に育て上げた敏腕プロデューサー。ドラマからバラエティまで、手掛けた番組は100を超える。2015年日本テレビを退社。自らの経験をもとにメディアデザイン会社「アブリオ」を設立し、LINEの前社長、森川亮氏と共に新事業「C CHANNEL」を立ち上げる。現在、メディアを超えたコンテンツプロデューサーとして活躍している

加藤:ゲストも、しゃべろうと思って来てくれています。下手な変化球よりも、ストレートがいい。でも、絶対に悪意、邪なもの、視聴者が聞きたがっているだろうから、というものに迎合してはいけない。

三枝:計算が見えると、相手も急に話さなくなるでしょうし、意図が透けて見えるとダメですよね。視聴者も敏感ですから、その意図を感じた瞬間にしらけてしまうでしょう。

加藤:計算高いと鼻につくじゃないですか。そこだけは気をつけています。僕は器用じゃないし、テクニックもない。だから、ストレートで勝負するしかないと思っています。

三枝:MCにとって、相手から「ああ、こんなものか」と思われることほど、怖いものはないですからね。サッカー日本代表のハリルホジッチ監督の言うところの「デュエル(1対1の闘い)」をされているわけですね。

加藤:いや、そこは何回も失敗しています。理解できないと「それってこういうことですか?」「違います」「じゃあ、こういうことですか?」というやりとりが何回も繰り返されることもありました。本当に勉強になりました。

僕が昔見ていた番組を思い返してみると、MCや大御所の方は、批判なんて恐れずに好きなことを言っていました。「好きなことを言う」って決して楽なことではないと思うんです。しかも、いまは文句を言われないようにする、味方をどれだけ増やすかということを避けて通れないので、本当に難しい。

三枝:確かに味方を増やす、つまりフォロワーがどれだけいるかを基準にすることも増えていますね。その一方で、敵を作らないことも大事です。

加藤:どうしても小さくまとまってしまいがちです。しかも、いまの「言い方」であることが求められます。だから、内容は「最大限に」ということを模索しています。

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