パッチワークのインターネット法制-青少年ネット規制法とネット販売への規制が成立
6月11日、国会では、インターネット上の有害情報から青少年を守るための法律が成立した。先週には、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」(通称 青少年ネット規制法案)が衆議院を通過し、ちょうど、今日、参議院も審議が終わり成立した(民主党案は「子どもが安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」)。また、同時にインターネット販売に規制をかける割賦販売法も参議院で可決され、成立した。
奇しくも、同じ日にインターネットの規制に関する二つの法律が成立したことになる。
筆者は、理科系出身と言うこともあって、民主党のネット規制の議論にところどころ参加していた。実際にネットのフィリタリングを行っているNPOを訪問したり、特定商取引に関する法律の改正に関しても、担当者として有識者やインターネットビジネス関係者の話を聞く機会があった。こうした経験なども踏まえ、インターネット規制に関する問題を考えたいと思う。
与野党合意でできつつあるインターネットの有害情報規制
さて、マスコミ上注目を集めているのが冒頭の青少年ネット規制法案。18歳未満の子どもが携帯やパソコンでインターネットを使う際に、有害情報のフィルタリングをすることを義務づけるものだ。これで子どもがインターネットを使って有害情報に接する機会をできるだけ減らすのが目的だ。
ちなみに、「有害情報」とは、(1)子どもに対し、著しく性的感情を刺激する情報、(2)子どもに対し、著しく残虐性を助長する情報、(3)子どもに対し、著しく自殺または犯罪を誘発する情報、性または暴力に関する情報であって人の尊厳を著しく害するもの、著しく差別感情を助長する情報その他人の尊厳を著しく害する情報、(4)特定の子どもに対するいじめに当たる情報であって、その子どもに著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの、となっている。また、親の義務として、子どものインターネット利用状況を把握・管理し、子どもが使うことを携帯電話事業者に申し出なければならない、ということになっている。
なかなか大規模な対策を本法律で行うことになる。
また、特定商取引法改正では「オプトイン規制」が行われる。迷惑広告メールの急増への対応として、事前に承諾を得た消費者のみに広告メールを送信することができる「オプトイン規制」を導入することにしているのだ。
インターネット有害論の根拠はグーテンベルク以来?
筆者個人の考えだが、そもそも、青少年ネット規制法案にある「有害情報の定義をどうするか?」が難しい問題だ。また、法案の底流にある「インターネット=悪いもの」というイメージを、払しょくする必要性も強く感じる。