(このひとに5つの質問)孫正義 ソフトバンク社長
2006年のボーダフォン日本法人買収で携帯事業への参入を果たしたソフトバンク。大方の苦戦予想を覆し、契約者の増加が続く。新端末の発表会で1年を振り返った。
純増契約者数で5カ月連続1位
――昨年10月の番号ポータビリティ(MNP)開始から1年経過しました。どのように振り返っていますか。
MNP直前までソフトバンクが草刈り場になると予想されていたし、われわれの事前調査でもそうだった。だが、基地局の設置数を倍増して通信ネットワークの充実に努め、端末では他社を凌駕するものを出し、「ホワイトプラン」でわかりやすい料金体系を提示した。また、コンテンツの拡充や営業体制の強化など、攻めに攻めまくった。解約率も減って効率のいいオペレーションができるようになった。そうした結果、今の純増契約者数5カ月連続ナンバーワンにつながっている
――純増数ではトップですが、MNPによる獲得ではauに負けています。
MNP経由でも伸ばしたいが、(実際にMNPが開始されてから)従来の電話番号に対するこだわりより、解約して番号が変わってもいいという考えが圧倒的に多いことがわかった。そういったお客さんも、番号を大切にしたいお客さんも追いかけていく。
MNPは手続きをもっと簡素化し、電話番号だけでなくメールアドレスも持ち運べるようにならないと、利用するユーザーが増えないのではないか。
――総務省のモバイルビジネス研究会での議論を受けて、au、NTTドコモが新料金プランを導入する。今後のビジネスモデルのあり方をどう考えていますか。
研究会では端末と通信料金の分割モデルを提案されていたが、そうした意味で言えばわれわれは先駆けて実施している。
オープンな形でビジネスモデルの議論が行われるのは歓迎すべきことだ。しかし、誰かがこうしろと押しつけられるものではない。公正な競争環境にあれば企業が自発的にやっていく。(研究会の)有識者に決めつけられるものではない。
――今年の冬商戦ではプレミアム感を強調している。これまで料金での割安感を訴求してきたが、どのような戦略を考えているのでしょうか。
携帯端末を開発して製品化するまでに1年近くかかる。ここに来てようやくソフトバンクらしい上質感のある端末が出始めてきた。ユーザーに安心して使ってもらえる料金は維持するが、最初から「安かろう悪かろう」では意味がないと考えていた。リーズナブルな価格で上質なものが手に入れられる。それを両立させていきたい。
――米国で人気を博しているアップルの『iPhone」は日本導入が期待されています。
それについてはまったくノーコメント。イエスもノーもコメントしない。
(「週刊東洋経済」2011年11月3日号に一部加筆)
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