―― 一方で若い人ではなく、一定程度のスキルのある社会人経験者を採用して、中途出身ばかりのベンチャー企業もあります。
企業経営においてはカルチャーが重要だ。仕事のやり方を私は「プロトコル」と呼んでいる。このプロトコルは会社のカルチャーで変わるものだ。例えばAという会社に10年、20年いた人は、テラモーターズのビジネスのスピードに付いて行くのは容易ではない。柔軟性があればいいが、適応するまでには一定程度の時間を要する。もちろん、技術に特化するなど専門職として中途は大いに活躍できる。ただビジネスでいろんなことをやろうと思うと、プロトコルが重要だ。合わせるのは大変だと思う。「何かの色に染まっていない」ことも重要だと考えている。
――入社しても肌に合わないからと短い期間で仕事を辞める若手社員については、どう思いますか。
社会人になる覚悟という意味において、若い人たちに“軽い感じ”を受けるのも事実だ。米国をはじめ海外では、転職することは珍しいことではない。しかし、彼らが考えているのはプロフェッショナルとしてどこで食べていくかという高い意識だ。そのためにどういうスキルやノウハウを構築するべきなのかをつねに思考する。辞めるときの理想は、「今の会社では仕事もやりきって、もうやることはないので次の会社に行く」ということだと思う。そうすれば次の転職先でも評価されるだろう。「嫌だから今の仕事を辞める」となると、次の転職先でも同じ問題が起こる。自分の意識が変わらないかぎり、転職しても辞め続けることになると思う。
間違ったグローバル
――近年では“グローバル人材の育成”ということが重要視されています。語学力など就活生、若手社員はさまざまなものが求められる時代になりました。
この点がグローバル人材という観点で間違っているところだ。日本の感覚では、英語ができればいいと、すぐテクニックに走る傾向がある。本屋でもそのような本ばかり売れているようだ。しかし、それはあくまで表面的なスキルを身に付けるにすぎない。もちろん、語学力はなくてはならない時代にきている。でも「コア」の部分がないのに表面だけ作ってもしょうがない。大事なのは高い次元において、自分自身の軸を確立することだ。自分でどのようなことをしたいのか、そのために何をするべきなのかとことん考える。
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