ヒラリーが土壇場で大苦戦する「3つの理由」 実は問題はメールだけではなかった

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そして、筆者が考える、ヒラリーと民主党が苦境になった最大の理由は、これら2つのゴシップ系ではなく、3つ目、すなわち王道の政策の「オバマケア」だと考える。

ここでオバマケアをおさらいしておこう。オバマケアとは、民主党が長年の悲願としてきた「国民皆保険制度」だ。2010年に制定され、2014年から本格的に始まった。

「保険料の大幅負担増」がヒラリー離反を招いた

まさしく民主党政策の根幹だが、10月24日の月曜日、そのオバマケアで衝撃が走った。州ごとに来年度の「プレミアム価格」が発表されたのだが、要は保険料が軒並み大幅アップになったのである。特に現在激戦州のアリゾナ、ペンシルバニア、ノースカロライナなどは酷い状況だ(こちらを参照)。

これで、トランプと共和党は息を吹き返した。これまでどおりヒラリーのスキャンダルを攻撃すると同時に、王道の政策でも反撃に出た。そして10月24日の月曜日以降、火曜日・水曜日・木曜日と、徐々にトランプとヒラリーの支持率の差が縮小した流れの中で、28日の金曜日にFBIによるEメール再調査が噴出したのである。

そんななか、興味深いのは、その2日前、トランプ陣営の元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏が、FOXテレビのインタビューで、「近々ヒラリーに関して爆弾が破裂する」と示唆していたことだ。4日になって、この発言のビデオはヒラリーを応援している、あのマイケル・ムーアによって拡散され、FBIとの関係を指摘されたジュリアーニ元市長は対応に追われていた(参考文献はこちら)。

このように、今米国ではドロドロのドラマをやっているわけだが、この問題の根本には、オバマ政権による、FBIと司法省との役割分担変更への、FBI内の反発が囁かれている。FBIを管轄するのは司法省だが、オバマ政権は2014年からFBIには民間の犯罪捜査を優先させたのである。

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