教育困難校には、どんな生徒が来ているのか 「学習意欲なきヤンキー」がすべてを破壊する
第1のタイプ「ヤンキー」の生徒は勉強する気がないので、あらゆる手段で授業を妨害しようとする。自分で騒ぐだけでなく、第2タイプの「コミュ障」、第3タイプの「無気力」系の生徒も巻き込み、彼らの学習を邪魔する。当然、教師は「ヤンキー」系生徒への対応に最もエネルギーを注ぐことになる。その反面、第2や第3のタイプの生徒への指導がどうしても疎かになっていた。教師にとって、授業で騒ぐ生徒が最大の敵であり、静かに過ごせる生徒は集団の中に埋没して背景となってしまうのだ。
また、「教育困難校」では、授業だけではなく、部活動や委員会、体育祭や文化祭などの学校行事を成立させることも非常に大変である。上に挙げた3タイプの生徒たちは、これまでの学校生活で何かの活動の中心となったことがなく、企画力や指導力、運営力を養う機会がなかった。そのため、部長や委員長の立場になっても、どう動けばよいかわからない。コミュニケーションの取り方も下手なので、共同で何かをやり始めると、すぐに人間関係で衝突を起こす。そこで、教師の指導が、進学校や中堅校以上に重要になる。
生徒のタイプに合わせた指導法
この3タイプの生徒たちには、それぞれ適した指導法がある。第1タイプ「ヤンキー」の生徒には説明する指導はほとんど功を奏しない。短いセンテンスの指示を大声で言うことが、彼らの耳に教師の声が届く唯一の方法だ。必罰主義も、彼らには効果的である。
反対に、第2タイプ「コミュ障」の生徒には、教師や生徒の発する怒声は非常な恐怖となる。自分ではなく、他人が怒られているのを聞くだけで恐怖のため過呼吸の発作を起こしてしまう生徒もいるのだ。このタイプには、静かで穏やかに指導する必要がある。彼らは、高校で勉強をやり直したいという学習意欲や知的好奇心を持っているので、それらを満たすような内容のある指導も求めている。あまりに低レベルの学習を行わせると、それに不満を持ち、再度不登校になったり、転校したりもしかねない生徒たちでもあるから、注意が必要だ。
第3タイプ「無気力」の生徒には、何をわからないかを教師が見つけ出し、小学生レベルから時間をかけて丁寧な個別指導で教えるしかない。しかし、現実には、授業の中で個別指導を行うことはできないし、放課後も、部活動や委員会指導、会議、書類作成等で多忙な教師には、彼らのために割く時間はない。
上述の3パターンの指導を、1つの教室の授業で1人の教員が使い分けることは、どんなに優秀な教師でも不可能だ。
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