また会いたくなる人は「4:6」で話している 人としての「教養」が試されている

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大切なのは話す前に、まず相手の話をよく聞くことだ。商品の売り込みや身勝手なお願いごとをするタイプは、相手の視点に立ち、聞き上手になるという視点が乏しい。

商品の売り込みは、欠点・弱点から話してみる

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誰にとっても、忙しい最中、商品の売り込みや勝手なお願いごとをされるのは、迷惑以外の何物でもない。裏を返せば、そういうタイプには、「今こんな話をされたら迷惑だろうな」と思いやる最低限の想像力がないのだろう。

商品を売り込みたいのなら、相手の立場に立ってみて、どのタイミングならば迷惑がかからないかを確認する。そして率直に商品の欠点、弱点から先に語ったらどうだろう。

完全無欠な人間が存在しないように、どんな商品やサービスにもひとつくらい欠点なり弱点はあるものだ。それをバレないように誤魔化そうとするのではなく、「この商品にはこういう欠点があるけれども、それを上回るメリットがあるから、ぜひおすすめしたい」と正直に語ればいい。

自分にとって不利な情報を隠そうとするほど、話が回りくどくなり、貴重な時間の浪費につながる。相手の立場になって頭を巡らせれば、それくらいはすぐにわかるはずだ。

かつて私も頭を悩ませたが、たとえどんなに優秀で、仕事熱心で、ビジネスセンスが抜群な人でも、なんでも隠したがる超秘密主義であれば、信頼関係を築くのは難しい。不必要に情報を隠すことはマイナスに働く「悪」なのである。

相手に正直で誠実であるというのは、コミュニケーションの大前提である。正直かつ誠実に、不利な情報も包み隠さず話したほうが、有益な議論ができる。

会話術の根幹は「相互尊敬」であり「相互信頼」にある。それが成り立ってはじめて、レベルの高いコミュニケーションが交わせる。商談であれば、商品やサービスが評価されて売れたり、無理筋なお願いごとでも引き受けてもらったりできる。

ただし、こちらが正直ベースで話すからといって、相手の信頼が得られるとは限らない。交渉が有利に展開する保証もない。そこは短期間な成果を得ようと、焦らない覚悟が求められる。

遠回りのように思えるかもしれないが、正直ベースのコミュニケーションを地道に積み重ねる他ない。そうすれば、いずれ相手の信頼度が上がって、交渉がうまくいく確率は上がっていくのだ。

堀 紘一
ほり こういち / Kouichi Hori

1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業後、読売新聞経済部を経て、73年から三菱商事に勤務。ハーバード・ビジネススクールでMBA with High Distinction(Baker Scholar)を日本人として初めて取得後、ボストン コンサルティング グループで経営戦略策定を支援。89年より同社代表取締役社長。2000年6月、ベンチャー企業のコンサルティングを行うドリームインキュベータを設立、代表取締役社長に就任。05年9月、同社を東証1部に上場させる。著書多数。

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