また会いたくなる人は「4:6」で話している 人としての「教養」が試されている
一方、「②相手が知らない話×④相手が関心のない話」の組み合わせは、貴重な情報を含んでいることがある。私が専門とする経営コンサルティングの分野では、その傾向が特に強い。もっとも、相手が関心のない話を無理やり伝えようとしても、なかなか伝わらない。
そう考えると最も効果的なのは、「②相手が知らない話×③相手が関心のある話」という組み合わせであることがわかる。
だからといって、一方的に長々としゃべったりすると、「いい話が聞けてよかった」とは思ってもらえない。そこが難しいところである。
山海の珍味を取りそろえたご馳走でも、一気に食べすぎるとお腹を壊す。同じように、相手が知らない貴重な情報であっても、それを詰め込みすぎると消化不良を起こしてしまう。ひどい場合には腹を下して、相手に悪い印象を残す危険すらある。
新しい情報は全体の4割まで
「②相手が知らない話×③相手が関心のある話」、つまり「相手の知らない新しい情報を伝える」ということをベースに、効果的に話す秘訣は何か。
それは、せっかくの丹精込めたご馳走のような話は、全体の4割までにとどめることである。残りの6割は「①相手が知っている話×③相手が関心のある話」をあえて話す。意外に思われるかもしれないが、この配分によって相手は「今日はいい話が聞けてよかった」と満足する。
この「相手が知らない話:相手が知っている話=4:6」を私は話の黄金比(ゴールデン・レシオ)と呼んでいる。
人はいくら関心のある話でも、知らない内容が4割以上含まれていると拒絶反応を引き起こす。
知らない話を理解するには、かなりの集中力が求められるが、人の集中力はそんなに長続きするものではない。そのため、一度に多くの情報を伝えようとすると、相手に理解できない部分が増えて、消化不良が生じてしまうのだ。相手が知らない情報を4割までにとどめる理由はそこにある。