絶好調「名鉄」の躍進を阻む3つの不安要素 業績成長を続けるには何が必要か
最後に、原油高に関してだ。原油情勢は今後も変動することが予想されるが、それに一喜一憂する経営は好ましくない。また、近い将来には、石油に依存しない自動車の開発もさらに進展するだろう。燃費の点では、どの方式になっても今のガソリン車よりも安くなりそうだ。
特に電気自動車の場合は走行距離あたりの単価が極端に安くなることが予想されており、運賃で利用者を惹き付けるのは難しくなる可能性がある。さらに、近年一気に注目を浴びるようになってきた自動運転車が実用化されると、免許を持たない人や高齢者でも気軽に自動車を利用するようになることが予想される。
こう考えると、原油の価格に左右されない鉄道事業ができるかが、成長のカギを握りそうだ。この正解はいまのところないと思うが、だからといって手をこまぬいているのではなく、様々な仕掛けを用意して、その中から存続の可能性を探っていくような対応が必要ではないだろうか。
愛知から近未来の交通網提案を
その点、街の中心部に近いところに駅を構える鉄道は、駅近辺を集中的に魅力アップさせることで、駅への来訪機会を増やすことができる。実際に前述の通り、JR東海が名古屋駅で実践し成功している。このやり方は、各地の中核都市でも応用できるであろう。コンパクトシティを目指す地方自治体が出ているが、鉄道側からその働きかけをすることで、将来の需要を創造することも必要だ。
また、空間に余裕のある電車と、駅で下車してすぐに乗り継ぐことができるカーシェアリングの組み合わせは、強い競争力を持つ。名鉄グループには名鉄協商によるカーシェアリング「カリテコ」があるが、これを発展させる形で、域外からの来訪者でも使えるような仕組みが求められる。さらには、トヨタ自動車と協力して、鉄道と自動車のベストミックスを探る街づくりにまで関与していくことで、近未来の交通網を愛知県から世界に提案するような動きも期待したいところだ。
近未来の名鉄を考えると、以上のように必ずしもバラ色ではないと思われる。しかし、名鉄グループの総合力を活用すれば、未来を切り拓いていけるのではないだろうか。昭和30~40年代の高度経済成長期、パノラマカーの開発や全日本空輸(ANA)の育成からはじまり、明治村、リトルワールドの開設、レジャー施設の開拓など、今につながる先進的な活動をしていた名鉄が、再び全国レベルで公共交通機関をリードする存在になって欲しい。
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