絶好調「名鉄」の躍進を阻む3つの不安要素 業績成長を続けるには何が必要か
2016年3月期決算で、24年ぶりとなる営業利益448億円と過去最高を記録した名古屋鉄道(名鉄)。前回の記事では、バブル崩壊とJR東海の攻勢による苦境からの復活劇について記した。今回は、その名鉄が引き続き順風満帆に経営を進められるのか、その経営に死角はないのか、といった視点で、同社を取り巻く状況を検証してみたい。
大きく伸びた交通事業
まずは、直近5年間の決算資料から、分野別の営業利益額の推移を見てみよう。
前回の記事では、交通事業が好業績の牽引役であり、なかでも鉄道事業が大黒柱であると記した。だが、それは2015年度に限った傾向だ。全利益額に占める交通事業の割合は、2015年度は49.0%に達しているものの、2013年度には36.4%にとどまっていた。逆に言えば、2年で12.6%も増えたことになる。
一方、全利益額に占める鉄軌道事業の割合は2013年度が28.7%、2015年度は34.1%で、2年間の伸びは5.4%だ。このことから、交通事業は鉄軌道事業だけでなく、バス事業とタクシー事業も大幅増益となっていることがわかる。さらに、トラックや水運といった運送事業、それにレジャー・サービス事業もホテルと観光施設を中心に大きく利益額を伸ばした。
これらの数字から、6年連続の増益はいわゆるアベノミクスによる好景気が背景にあることが推測できる。中でも、訪日外国人の急増が交通とレジャー・サービス事業の利益に貢献しているが、それ以上に原油価格が低く推移したことが利益に貢献した。
また、鉄道事業は定期券利用者の増加が顕著で、2010年度から2015年度までに13.0%も利用者が増加している。定期外利用者がこの間に3.6%の増加にとどまっていることからしても、鉄道事業の売り上げについては、定期客の増加が大きく貢献していることがわかる。
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