絶好調「名鉄」の躍進を阻む3つの不安要素 業績成長を続けるには何が必要か

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国宝・犬山城の天守閣。名鉄沿線や周辺には数多くの城郭や古戦場がある(写真:T-Urasima / PIXTA)

だが、残念ながら名鉄だけではすべての城郭や古戦場にはアクセスできない。名鉄沿線でもバスに乗り継ぐ必要のあるところが多く、乗り換えがわかりにくいケースも見られる。この「ラストワンマイル」の改善が実現すれば、犬山の城下町への集客が成功している例から見ても、定期外客を大きく増やすことができるのではないだろうか。

ここは名鉄が中心となり、同社の鉄道、バス、タクシー、カーシェアリングなどとともに、JR東海や名古屋市、さらには各自治体のコミュニティバスとの連携を図ることで、誰もが本格派の戦国時代史跡巡りができるシステムを構築することが求められる。歴史スポットが盛り上がっても、実際には車利用者が増えただけ…では意味がない。公共交通で訪れるメリットも提案すべきであろう。手っ取り早いのは、各地にある地酒・クラフトビールなどとのタイアップだろうか。

個人観光客の増加は朗報

訪日外国人については、中国人の増加率が目立って落ち込んでいる。だが、これは名鉄にとってむしろ朗報といえるだろう。これまでの中国人観光客はツアー主体であったためだ。ツアーの場合、名鉄沿線は東京―京都・大阪のゴールデンルート上にありながら通過されてしまいがちだ。しかし、中国人観光客全体の伸びが鈍くなる一方で、個人観光客は増加しているようである。

個人観光客であれば、名鉄グループの総力を活用できる。外国人に人気の高い飛騨高山と奥飛騨温泉郷を結ぶ足は、濃飛乗合バスの独壇場だ。高山へは名古屋からだけでなく、北陸新幹線で富山県側からや、安房トンネルを抜けて松本・上高地側から入ることもできる。この飛騨高山と奥飛騨温泉郷、それに前述の戦国時代の遺産巡りを組み合わせると、名鉄グループとしての独自展開ができるだろう。

実際、すでに名鉄は「昇龍道」と呼ばれる、愛知県から岐阜県を経て石川県・富山県にいたる観光ルートの訪日外国人向けPRを行っている。これは今後、発展性があるものと思う。

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