ボルボSUV「XC60」300馬力超えモデルの実力 2リッター4気筒だからといって侮るべからず
現在ボルボでは、今後開発するニューモデルでは排気量の上限をもはや2リッターの4気筒までと決めており、2トンオーバーのXC90であってもこのパワーユニットを使っている。裏を返せば、それだけこの新世代のDrive-Eに自信を持っているということにほかならない。
参考までにDrive-Eのバリエーションは、最高出力152psの1.5リッター直4ターボとなるT3、最高出力245psの2リッター直4ターボとなるT5(XC60には直列5気筒ターボのT5もあるのでややこしい)、そして今回紹介する最高出力306psの2リッター直4ターボ+スーパーチャージャー付きのT6、さらにXC90には、このエンジンにモーターが加わりシステム合計407psの最高出力を誇るプラグインハイブリッドのT8も用意される。
新しいDrive-Eユニットは、ボルボのディーゼルユニットと多くの部品を共用している。ディーゼルエンジンは高い圧縮比にも耐えられるよう非常に堅牢。つまり、これをガソリンエンジン用に流用した際には、300馬力など余裕で許容できる基本性能があるということだ。従来のXC60の高性能エンジンであるT6が3リッター直6ターボエンジンで304psであったことを考えると、排気量などこの際関係などないことも分かる。
XC90の巨体と2080kgの車重をもってしても、余裕の走りに終始するT6エンジンである。ひとまわり小さく、車重が1880kgしかないXC60のT6 AWD Rデザインには、予想どおり十分すぎるほどのパフォーマンスをもたらすことになる。
低速域ではスーパーチャージャーが働き、アイドリング+αの2100rpmで最大トルクを発生するというカタログデータに嘘偽りはなく、街中ではほぼ3000rpmも回せば、十分交通の流れをリードできる。8速に多段化されたトランスミッションとのマッチングも良い。静かにスピードが乗るといった印象だ。意識してアクセルを踏み込みでもしない限り、高回転域とはほぼ無縁。それでも決して遅いと感じるヒマはない。
スーパーチャージャーとターボチャージャーの切り替えは自然で、よほど注意深くエンジン音を聞かない限り分からないが、こちらも意識してアクセルを踏み込めばトルクが一気に盛り上がり、ターボが確かにそこにあると存在感を理解できる。教えられなければ、誰がこのエンジンパワーを2リッター4気筒のものだと思うだろうか。T6のエンジンをスポーティだと紹介することにいささかも躊躇はない。
XC90よりも楽しい!?
SUVにしてスポーティだと印象付けるもうひとつの理由は、実はハンドリングにもあった。ボディのしっかり感は、正直最新のXC90よりもいいぐらいだ。ステアリングを切ったときのボディとの一体感やソリッド感は、デビューから8年たったが、こちらがまだまだ上だと感じさせる。