「仕事ができないやつ」から脱却する唯一の道

資格や語学がなくても「一番偉い人」になれる

私はその司会進行役という名目で会議に参加していたが、実質的には「部門長の脇で議事録をまとめる」という役割であり、最終的な決定の権限は部門長が握っていた。

会議は、まず現状の報告から始まった。売上の状況、顧客の数、引き合いの推移、チラシの具体例から利益予測まで、さまざまなデータが提出された。

かれこれ1時間程度の報告があっただろうか。ひととおりの報告が終わると、部門長は口を開いた。

「何か考えがある人は発表せよ」

しばらくは沈黙のうちに時間ばかりがすぎた。そして5分ほど経ったときのことだ。ある若手、まだ20代後半と思しき人が、手をそろそろと挙げた。

「よろしいでしょうか……」

部門長がうなずくと、彼はゆっくりと話し始めた。

「ありがとうございます、では、意見を述べさせていただきます。このサービスですが、現在調子が良くない理由は、『キャッチコピー』にあると考えています。私が思うに、このサービスの本来のターゲットは『300人以上の企業』です。しかし、現在のキャッチコピーはどちらかといえば、『100名程度の零細企業』向けになっていると感じており、それが現在の引き合いの少なさの原因と思われます」

部門長は先を続けるように促す。

「したがって、私が考える案は、キャッチコピーを次のように変えることです」

そして、彼は自分の考えてきたキャッチコピーを披露した。

会場からは批判の声が…

だが、会場からは苦笑が聞こえるのみだった。

それもそのはず、彼が考えたというキャッチコピーはいかにも稚拙なものであり、どうひいき目に見ても、集客できるようなクオリティではなかったからだ。

すかさず、会場からは批判の声が上がる。

「問題はキャッチじゃないでしょう、価格ですよ」

「キャッチというのは間違っていないように思うが、このキャッチではねぇ……」

「なぜこのキャッチが300名以上向けなのか、理由がわからないんだが」
質問、批判が相次ぎ、彼は落ち込んでいるようだった。

次ページしかし部門長は
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