「仕事ができないやつ」から脱却する唯一の道 資格や語学がなくても「一番偉い人」になれる

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だが、部門長は言った。

「非常に良い意見だ。私は気づいていなかった。検討事項に加えよう」

その後、会議は「キャッチコピー」のみならず、価格設定、ターゲットの再設定、営業の方法まで、多岐にわたり話が展開し、新しい施策がまとまり、会議は終了した。

仕事でいちばん偉いのは誰か

『「仕事ができるやつ」になる最短の道』(日本実業出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

私は会議が終わったあと、部門長に質問した。

「なぜ、あのキャッチコピーを『良い意見』とおっしゃったのですか? 素人目に見ても、クオリティは高くないように感じましたが」

すると部門長は言った。

「仕事でいちばん偉いのは誰だと思います?」

「権限を持っている方でしょうか?」

「権限を持っていてもダメなやつはダメなやつです。どんな仕事でも、いちばん偉いのは『最初に案を出すやつ』なんですよ。批判なんてだれでもできる。でも、『最初に案を出す』のは勇気もいるし、なにより皆からばかにされないように一生懸命勉強しなければいけない。だから、最初に案を出すやつを尊重するのは仕事では当たり前です」

私はそれ以来、さまざまな会社で観察を行ない、仕事をするときはつねに、「まず案を出す」ということがいかに重要かを、多くの企業で見ることができた。

だからいまでは、若手から「仕事ができるようになるためにはどうすればいいですか?」という質問を受けたときには、おせっかいながら必ず「いちばん最初に案を出せるようになるように頑張る」と回答するようにしている。

安達 裕哉 ティネクト代表取締役

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あだち ゆうや

1975年東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事 。大企業、中小企業あわせて1000社以上に訪問し、8000人以上の ビジネスパーソンとともに仕事をする。現在は仕事、マネジメントに関する メディア『Books&Apps』を運営する一方で、企業の現場でコンサル ティング活動を行う

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