「逃げ恥」「校閲ガール」心をつかむ3つの理由 ガッキーと石原さとみが可愛いだけじゃない

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一方、「校閲ガール」のコンセプトは、ヒロインを通じた疑似体験。校閲という地味で地道な職場に相反するように、「言いたいことを言い、着たい服を着て、行きたい場所へ行く」悦子を見てスカッとする人は多いでしょう。

悦子を見た視聴者が爽快感を覚えるのは、「自分ができないことを代わりにやってくれる」から。ファッショナブルな姿で通勤し、先輩や取引先に毒を吐き、好きな人にはメロメロになり、自宅直結のおでん屋で泥酔するなど、「僕も(私も)こうできたらいいな」という手に届きそうで届かない疑似体験をさせてくれるのです。

つまり、マーケティングの意図は、仕事や人間関係など縛られるものの多い時代だから、「悦子の自由な姿を見てスカッとしてもらおう」というもの。ドラマだけでなく、多くの商品・サービスにも、同じような“爽快感を伴う疑似体験”が効果的な気がします。

心を動かされる名言が満載

「カワイイ」「見やすい」「心地いい」に加えて、「ちょっとためになる」のが両作の強み。

たとえば、「逃げるは恥だが役に立つ」というタイトルについて。津崎は、周囲に嘘をついた罪悪感にさいなまれるみくりに、ハンガリーのことわざとしてこのフレーズを贈りました。

「後ろ向きな選択だっていいじゃないか。恥ずかしい逃げ方だったとしても、生き抜くことのほうが大切で、その点においては異論も反論も認めない」と普段のキャラとは一変して、男らしい一面を見せたのです。

一方、「校閲ガール」も名ゼリフが満載。失敗してしまった悦子が「今辞めたら、手に入るかもしれない夢を諦めることになるの。そんなの絶対嫌なの」。居酒屋のマスターから「男は顔より心だぞ」と言われた悦子が、「『顔が好き』って言うよりも、『中身を好きになったんです~』って言うほうが尊いことに扱われている世間の風潮に我慢ならない」。編集者に「ゆとり」とバカにされた悦子が「私たちゆとりは国政の被害者。詰め込み教育受けてるクセにやることハンパすぎんだよ。この無能が!」。乱暴なだけに見える悦子のセリフには、深いものがまぎれているのです。

ここまでさまざまな魅力を挙げてきましたが、まだ序盤から中盤に差しかかる段階だけに、両作をまだ見ていない人は、無料見逃し配信サービスの「TVer」や、各局のオンデマンドを利用してみてはいかがでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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