医師が教える!病院に行くか否かの「分岐点」 「即、病院」が最善とは限りません

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可能であれば3症状に加えて熱の有無を確認しましょう。38度以下の微熱であればさらに風邪の可能性は高いといえます。

個人差はありますが、一般的には「朝起きたときにちょっとのどが痛いからスタートし、なんとなくだるいと思っていたところ午後から微熱と鼻汁に気が付き、翌朝、喉の痛みはちょっと良いかもと思う感じだが咳が出てきた」という経過とされます。

繰り返しますが個人差はありますので、24~48時間くらいの経過で3症状がそろってきているかを確認することが大切です。特に鼻水がしっかり出ているようであれば3つそろわなくても(鼻水+喉の痛み、もしくは鼻水+咳)風邪の可能性が高いでしょう。

2.レッドフラッグサインの確認

レッドフラッグサインとは「危険な兆候」のことです。重篤な疾患を疑うサイン(気づき)として医師は使います。

家庭でのセルフケアでは、このレッドフラッグサインを見逃さないという姿勢が大切になります。というのも、いろいろな病気が心配にはなりますが、そのような病気にはどのようなものがあり、どういう病気で……と十分な知識を持つのは大変なことだからです。

しかし、病気を知らなくても重篤な状況のサインを知ることは可能です。 レッドフラッグサインは、医療現場で使う緊急性のサインというほど重篤なもののイメージではなく、セルフケアでは「病院を早めに受診したほうがよい徴候」として広くとらえるとよいでしょう。

レッドフラッグサインが無いか、必ず確認するようにしてください。しかし、ここで提示するレッドフラッグサインは、あくまでも医師の世界で言われているものを一般の方向け、セルフケア向けに筆者が独自に修正したものです。よって、これがなければ絶対に安全とコンセンサスが得られたものではありません。“受診のひとつの目安”と考えてください。

【レッドフラッグサインのチェックリスト】
このうちひとつでもレッドフラッグサインがあれば受診を!
① 38℃以上の発熱が数日続く
②水分・食事がとれない
③肺気腫など肺の病気がある人、心臓の病気がある人で38℃近い熱があるとき、もしくは
微熱だが寝汗をびっしょりかく場合(高血圧のみは除く)
④10日間以上咳が続くとき
⑤咳が強く胸が痛む、呼吸が苦しい、血痰が出る
⑥喉が痛く食事がとられない、口が開けにくい

 

なぜこのチェックリストがなぜ重要かというと、通常風邪(ウイルス性上気道感染症)では数日以内にウイルス量のピークを越えますので38℃近い熱は初日はあっても構いませんが、3日をこえて(72時間以上続く)というのは珍しいです。また、水分・食事が全然とれないのが数日続くと脱水などにより重篤な状況になります。

心臓・肺に持病がある人もさまざまな疾患が重症化しやすいですので、自己判断するのは慎重にとされます。咳が長引くと実は結核かもしれないと考えます。呼吸が苦しいと喘息であったり肺炎などを起こしている可能性があります。喉が痛い風邪はよくありますが、食事がまったくとられないほどとか口が開けにくくなるくらいだと、重篤な細菌感染症がないかの確認は必要です。

無理は禁物ですが、「体調が悪いから即、病院!」ではなく、ひとまず自宅で経過をみてみようかと自分で判断してみる、セルフケアしてみるという観点を、ぜひ身につけてみてください。悩んだときの相談相手をかかりつけ薬局の薬剤師さんにしてみるという選択肢もありますよ。

岸田 直樹 医師、感染症コンサルタント

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きしだ なおき / Naoki Kishida

1995年東京工業大学理学部中退。2002年国立旭川医科大学卒業。手稲渓仁会病院総合内科・医学教育フェロー、静岡県立静岡がんセンター感染症科フェローなどを経て、2010年より手稲渓仁会病院で感染症科チーフ兼感染対策室室長を務める。2014年4月、医療におけるエンパワメントを推進するため、一般社団法人SapporoMedical Academy(SMA)を立ち上げ、代表理事に就任。日本感染症学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医。「良き医学生・研修医教育が最も効率的な医療安全」をモットーに、総合診療をベースに感染症のスペシャリティーを生かして活動中。「自分が実感し体験した臨床の面白さをわかりやすく伝える」を目標に、感染症のコンサルタント、研修医・薬剤師・看護師教育など全国各地で多数の回診・講義を行なっている。著書に『誰も教えてくれなかった“風邪”のみかた』(医学書院)、『総合診療医が教える よくある気になるその症状レッドフラッグサイン』(じほう)などがある。趣味は温泉めぐり、サッカー観戦(インテルファン)、物理学、村上春樹
 

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