静かに加速する中国人採用、その「光と影」 見せかけだけのダイバーシティ?
つまり本音では、これまでどおり、ツーといえばカーといえる日本人同士だけの会社のほうが楽だし居心地がいい。優秀とはいえ、なんだかよくわからない中国人など外国人社員に来てほしいわけではないのだが、ダイバーシティは時代の要請だから仕方がない、という後ろ向きの姿勢を言外に感じたのだ。
それは、文系なのに、海外の有名大学から日本語が一切できない人材を採用する企業があること(採用後に日本語教師をはりつけて、数カ月で日本語の促成栽培をする)などでもわかる。
とにかく地頭がいい学生を採りたい、という本音
留学生採用の場合、日本語力には問題がないが、海外の大学から採用する場合は、日本語はほとんどできない。大手メーカーの研究所などでは、技術やITについて社内で英語でコミュニケーションを取ることもあり、エンジニアは日本語力がそれほど問われないケースも多い。だが、文系の場合(多くは営業職)は、日本語ができなければ、日本で仕事をすることは難しい。それでも、大手企業は中国から文系の学生をかなり採用している。
採用している企業や人材紹介会社によれば「北京大学、清華大学出身など、とにかく地頭がいい学生を採りたいから」だそうだが、それまで日本語を含め、日本との接点がほとんどなくても、いきなり採用して日本に来させてしまうというやり方が少なからずあることを知り、「それで(本人も、企業側も)問題ないのだろうか」という疑問を感じた。
採用された中国人に話を聞いてみると「日本企業で働く経験は自分のキャリアの役に立つからうれしい」とか「無料で日本語の研修をしてくれる、技術が習得できるなどメリットがある」という意見があった。むろん、本人は日本企業で働くことに納得し、明確な目標を持っているからこそ来日するのだろう。急成長している中国とはいえ、大卒(文系)の初任給には2~3倍の差がある。彼らにとって、まだまだ日本企業から学ぶことは多く、魅力的な存在だ。
しかし、そうしてまで採った名門大学出身の逸材を、日本企業はしっかり活用できているのだろうか? と感じたのだ。
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